産経新聞とインターネット版の産経ニュースは4月12日、中高生向けに憲法を解説する記事において、本文の内容と直接関係のない、LGBTへの差別につながる恐れのある挿絵を掲載した。
記事では、シリアへの渡航を計画していたカメラマンに対して、2月、政府が旅券返納を求めたことを引き合いに出し、憲法で保証される海外渡航の自由と、公共の福祉による制限の兼ね合いについて解説している。
挿絵では、妻子を連れた男性が「女装は憧れだったんだ。一度だけこの格好で出かけたいんだ」と言うと、妻が「ちょっとお父さん! 家族の迷惑も考えて!」と止めるシーンが描かれ、「海外渡航をめぐっては“お父さんの自由”ではすまされない問題があります」と説明が添えられている。しかし、本文中には女装をする男性についての記述はなく、自由と制限のせめぎあい、というイメージから描かれたものと見られる。
記事では、旅券法に定められている、旅券の返納命令を出せる条件2項目として、
・「外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」
・「旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合」
を引用。挿絵で描かれている家族への「迷惑」とは関係が薄い。
自らの性と異なる性の服装をする、異性装がトランスジェンダーを意味するわけではないが、本文の補足をする挿絵として、疑問が残るものと言えそうだ。
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