7月10日投開票された参院選の結果を、海外メディアはどう報じたのか。
アメリカのABCは「安倍首相は『アベノミクスは道半ば」と繰り返し強調したが、選挙戦では日本が軍事国として存在感を出すことを目指すアジェンダには触れなかった」とした上で、「日本が他の国と戦うことになるかもしれない」と話す日本の女性有権者の声を紹介した。
イギリスのBBCは、「安倍首相は経済政策を焦点に絞って選挙を戦った。しかし、この選挙の背後にあったものは、憲法を改正しようとする力だった」と分析。改憲勢力が3分の2に達すれば、「軍事行動への制約を緩和する憲法改正に向け、国民投票が実施可能になる」と指摘した。その上で、「私にはまだ2年の任期があり、憲法改正は自民党の目標。落ち着いて取り組んでいきたい」と安倍首相が改憲への意欲を語った言葉を伝えた。
「安倍政権の経済政策と平和憲法改正に対する懸念にもかかわらず、与党が地滑り的勝利」と伝えたのはロイター。改憲勢力が3分の2議席を得ることで「軍国主義の記憶を色濃く残している中国との緊張が増すだろう」と分析した。
中国共産党機関紙・人民日報は「自民、公明、おおさか維新、日本のこころの4党と、改憲に積極的な議員を加えれば3分の2を超え、安倍首相が目指す憲法改正を加速させる」と報じた。また、人民日報系のニュースサイト環球網は「(参院選の結果は)アジアの近隣国が、日本の軍国主義復活への警戒心を向上させることを禁じえない」と、外交への懸念を伝えた。
韓国メディアの朝鮮日報は、「『改憲まで七合目』安倍・右翼60年の野望」との見出しで、「今回の参院選で改憲勢力は第二の条件を満たしたことになり、改憲に向けた作業が『七合目を越えた』との声も聞かれる」と、改憲が現実味を増している情勢を報じた。