『真田丸』で好演中の竹内結子、36歳にして違和感ない“小悪魔”ぶりに賞賛
視聴率も好調の大河ドラマ『真田丸』(NHK総合)に出演中の竹内結子が「カワイイ」と評判だ。彼女が演じるのは、豊臣秀吉(小日向文世)最愛の側室・茶々(のちの淀殿)。堺雅人演じる主人公・真田信繁を翻弄する姿は天真爛漫を通り越して、もはや“小悪魔”といっても過言ではない。そんな竹内も、気付けば36歳。彼女による“小悪魔・茶々”が魅力的に映る理由とは?
◆竹内版・茶々の小悪魔な可愛らしさ ボディタッチの多い「危険な女」
茶々といえば、2014年に放送された大河ドラマ『軍師官兵衛』では二階堂ふみが悪女として演じ、2011年の『江~姫たちの戦国~』では宮沢りえが熱演。この時代の歴史ドラマに必要不可欠な、重要な人物である。織田信長の妹・市と浅井長政の間に生まれ、父、母そして義父(柴田勝家)を死に追いやった秀吉の側室になる、という数奇な運命をたどる女性だ。
竹内結子演じる茶々が『真田丸』に登場したのは14話。秀吉の元に滞在する信繁の前に現れ、「あなたアレでしょ? 真田ナントカ、フフフ」と満面の笑みを浮かべかたと思えば、オロオロする信繁の顔を両手で挟み「わりと好きな顔!」と言い放つ。これにはネットでも、「こんなカワイイ茶々、初めて見た!」「お姫様って感じでいい」と評判に。竹内自身も、茶々のことを「危ない人ですね」と評し、「とにかく無邪気でありたいと思って演じていますが、ボディタッチも多くて。そういう行動が、小悪魔的で相手の誤解を招くのかもしれません(笑)」と語っている。
◆嫌味のない無邪気さは力量とキャラによる 若手に出せない怖さも
このときの茶々は史実的にはハイティーンの年頃で、竹内の演技が“無邪気”であることも納得だ。だが、「竹内結子、若すぎる」という意見も見られたように、彼女は現在36歳、実際の役柄とはかなり開きがある。にもかかわらず、無垢な少女のような小悪魔ぶりに違和感がないのは、まさにベテラン女優の力量というべきか。また一方で、幼少期からの過酷な運命ものぞかせつつ、秀吉の子供を身ごもった際には、本当に自分の子かを疑う秀吉に「父親は源次郎(信繁)です」と冗談を飛ばして翻弄する一幕も。そこには、舌でも出しそうなイタズラな小悪魔ぶりと、秀吉(この疑惑によりすでに何人も殺害している)をも煙に巻く豪胆さがあった。裏がなくて無邪気だけれど、少しばかり怖さも感じる。こういった複雑な戦国の女性像を表現するには、単に若手の女優ではなく、竹内がうってつけだったのかもしれない。
「映画『黄泉がえり』や『いま、会いにゆきます』、ドラマ『プライド』(フジテレビ系)では清純派女優と言われていましたし、『ランチの女王』(同系)ではサバサバ系女子。最近では、『ストロベリーナイト』(同系)で扮した心の闇を持つ男勝りな刑事・姫川玲子のイメージも強いかもしれません。CMでは、明るくマイペースでどこかサバサバした女性として描かれることも多くて、素の彼女のキャラに近いような気もします。それだけに、今回の小悪魔系は新鮮ですね」(エンタメ誌編集者)というように、これまでの竹内に“小悪魔”なイメージがあったわけではない。だが、もともと得意とする“明るいサバサバ感”がそこはかとなく漂い、“小悪魔・茶々”は裏も嫌味もなく、愛すべき女性として映るのだ。
◆三谷幸喜とは連続コラボ これから茶々は“小悪魔”から“悪魔”へ?
そんな竹内だが、意外にも大河出演は今回が初。脚本を担当する三谷幸喜作品には、映画『ステキな金縛り』(2011年)、スピンオフドラマ『ステキな隠し撮り~完全無欠のコンシュルジュ~』(フジテレビ系)、そしてワンシーンワンカットで撮られた『大空港2013』(WOWOW)に出演している。三谷は当時、竹内を“舞台にも向いている”と感じたそうで、実際に竹内の初の舞台『君となら』(2014年)でも演出を手掛けた。三谷とのコラボは最近ながら、頻繁に出演している彼女。茶々をここまで小悪魔系にしたのは、今の竹内の魅力を十二分に知る三谷ならではだろうし、もちろん今後の展開を見据えてのはずだ。
豊臣政権滅亡への秒読みがジワジワと始まり、同時に茶々の運命も大きく揺れ動いてく『真田丸』。ネガティブに捉えられることも多い茶々だが、現時点での描き方はこれまでの茶々像になく視聴者からも好評。ただ歴史的には、真田信繁の進退を左右することになる茶々は、今後“小悪魔”ならぬ“悪魔”となるかもしれない。その時へ向けて、竹内版茶々がどう変化していくのか、注目したい。(文/今 泉)
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