[ソウル 8日 ロイター] - 韓国のサムスン電子は8日、第4・四半期の営業利益が37.4%減の5兆2000億ウォン(47億4000万ドル)になりそうだと発表した。これにより、2014年通年は11年以来3年ぶりの減益となる見通し。
第4・四半期の営業益見通しはトムソン・ロイター・エスティメーツによる44人のアナリスト予想の中央値である5兆ウォンを上回る水準。四半期ベースで3年強ぶりの低水準だった第3・四半期の4兆1000億ウォンから持ち直した。
これを基にすれば、通年の利益は25兆ウォンと2011年以来で最低の水準となる見込み。
複数のアナリストは第4・四半期ついて、モバイル部門よりも半導体部門が好調だったと指摘。パソコンやスマートフォン向けメモリー半導体の需要が堅調だったという。サムスンは利益見通しの内訳を明らかにしていない。
第4・四半期の売上高見通しは12.3%減の52兆ウォン。予想中央値の51兆9000億ウォンをやや上回る水準となった。
■苦境のモバイル部門
モバイル部門は2013年のピーク時に全体の利益の約68%を稼いでいたものの、高位機種が見通しに届かず米アップル
アナリストは10━12月期もシェア低下の傾向が続いた可能性が高いと指摘している。
サムスンの事情に詳しい関係者によると、モバイル部門の第4・四半期利益は高位機種販売の改善やマーケティングコストの減少で前四半期からやや改善したものの、全体のスマートフォン出荷は落ち込んだという。
アナリストらは、中低位機種に注力するサムスンの新たな戦略により、利ざやが縮小するため、販売が拡大しても利益の伸びは抑えられるとみている。
トムソン・ロイター・エスティメーツによる52人のアナリスト予想中央値では、サムスンの2015年利益が23兆8000億ウォンとなっており、2年連続の減益も視野に入っている。
サムスンは、「スマートホーム」などあらゆるモノがインターネットにつながることを意味する「インターネット・オブ・シングス(IoT)」の関連事業が次の成長部門になると宣伝するが、同事業が近いうちに利益面で大きな貢献をするのは難しいとみられている。
HDCアセット・マネジメントのファンドマネジャー、Park Jung-hoon氏はサムスンの業績見通し発表前に、見通しの引き下げは不可避だと指摘、「李在鎔副会長の新たな体制の下でサムスンが示す必要があるのは安定であり、それには利益が含まれている」と述べた。
0310GMT(日本時間午後0時10分)現在、サムスン株は0.5%高。
HMCインベストメントのアナリスト、グレッグ・ロー氏は「少なくとも2015年第2・四半期までは業績の改善が続くとみている」と述べた。