キング牧師の公民権運動を彷彿とさせたアメリカの同性婚裁判

キング牧師の闘いは、人間性に訴えたからこそ、白人側にも共感が広がったのだと思います。
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日本では渋谷区が同性カップルにパートナー証明書を出すなど、少しずつLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字)の話題が盛り上がっていますが、アメリカでは一歩進んで同性婚が去年の最高裁裁判で合法となりました。合法となるまでには当事者を中心とした辛抱強い闘いがありました。

これまでは非常識だったことが常識に変わることがあります。そんな事例の一つとしてアメリカの黒人差別撤廃のための行動、公民権運動が挙げられます。この公民権運動をリードした一人は、「私には夢がある」のスピーチで著名なマーチン・ルーサー・キング牧師ですが、キング牧師のメッセージが今も世界中の人々の心に響く理由は、彼の行動や発言が人間愛に基づいた普遍的なものだったからではないでしょうか。

「私には夢がある。それは、いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である」

彼の闘いは黒人対白人という二項対立ではなく、黒人が人間として当然認められるべき尊厳を取り戻すための闘いでした。人間性に訴えたからこそ、白人側にも共感が広がったのだと思います。

2009年からキング牧師の闘いを彷彿とさせる全米を揺るがした裁判が争われました。2組の同性カップルが同性婚を認めて欲しいとカリフォルニア州を相手取って裁判を起こした裁判です。実はカリフォルニア州はこの裁判始まる1年前に、同性婚を認めるカリフォルニア州最高裁で下ったのですが、そのわずか半年後に同性結婚を禁止する「提案8号」について住民投票が行われ、なんと再び禁止されてしまったのです。

この間に結婚式を挙げたカップルたちは、突如非合法なカップルになってしまったのです。これはとんでもないと、2組の同性カップルが立ち上がり、カリフォルニア州を相手に裁判を起こしたのです。

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(c) 2014 Day in Court, LLC

ブッシュ対ゴアの大統領選で敵同士だった2人の弁護士、テッド・オルソンとデヴィッド・ボイスが手を組んだことも一因で、この裁判は全米で大きな話題となりました。この裁判は、ゲイやレズビアンといったマイノリティーの闘いというよりも、かつてキング牧師が戦った公民権運動のように、愛する人を、愛せる社会にするための普遍的な裁判だったように思います。

5年間にも及ぶ裁判の様子を追った感動のドキュメンタリー映画『ジェンダー・マリアージュ ~全米を揺るがした同性婚裁判~』を1月30日(土)に劇場公開することになりました。企画した試写会では涙する方が続出。私自身も号泣しました。この感動のドキュメンタリーを、ぜひ劇場で作品をご覧ください。