サイゼリヤが図らずも開発したもの

理系中心の経営陣・社員が科学的なレストラン運営を実践し、売上高利益率5%であれば優良といわれる外食業界において同10%を維持、圧倒的なコスト削減、高効率経営を開発したと賞賛されているが、ボクは、サイゼリヤが開発した真にイノベーティブなものは、まったく別のものだと仮説立てている。
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財力的にも味の嗜好的にも庶民派なボクが、外食でちょくちょく利用するのが「サイゼリヤ」だ。  

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この庶民の低価格イタリアンレストランは、マイケル・ポーターが言うところのコスト・リーダーシップ戦略を取り、2013年11月には国内1000店舗を達成、ファミレスでは「ガスト」(約1,300)に次ぐ規模となっている。

理系中心の経営陣・社員が科学的なレストラン運営を実践し、売上高利益率5%であれば優良といわれる外食業界において同10%を維持、圧倒的なコスト削減、高効率経営を開発したと賞賛されているが、ボクは、サイゼリヤが開発した真にイノベーティブなものは、まったく別のものだと仮説立てている。

それは、"中高生のレストラン"という新たなレストランカテゴリーだ。

先週末にもここを利用したのだが、ビビるのが中高生客の多さで「ここは学食なのだ。」と自然に錯覚さえしてしまうレベル。いつ行っても半数以上が中高生というアベレージがスゴい。

この"中高生のレストラン"という新たなカテゴリーであり特異なポジショニングについて思考を巡らせた時に、3つのポイントが浮かび上がったので整理してみる。

1:中高生のライフスタイルは、よく考えてみると、サラリーマン、OLのライフスタイルと何ら変わりがないという事実

中高生は、同僚(同級生)との交流、(部活、学内イベント)打ち上げ、コンパなど、飲み食いの利用機会が実は頻繁にある。

限られた財布の中身を駆使して機会を最大化するには、1回のコストを抑えるという戦略になり、よって"中高生のレストラン"は、サラリーマン、OLにとっての「飲み放題の低価格居酒屋」のイメージに近い。

2:ファーストフード、ファミレスに居心地の悪さを感じた中高生の新たなオアシス

ファーストフード、ファミレスにおける、低価格化競争が終焉した後の高級化・カフェ路線は、ビジネスマンやシニアなどの大人中心の落ち着いた空気を作り上げ、ワイガヤのにぎやかな雰囲気を消し去った。

中高生は、敏感にその空気を感じ取っているはずで、たとえ見た目が子どもであっても、キチンと接客され、ある程度ゆったりした席に通され、ドリンクバーを使ってダベっていてもアリなサイゼリヤは、もう他のどこにもないオアシスだろう。

3:スマホ、ソーシャル(LINE)を駆使する中高生間で、抜群に効くマインドシェア効果

大人と比べて圧倒的に狭い生活圏のなかで、スマホ、ソーシャルを駆使する彼らのコミュニケーションにおいて、特定のキーワードへのフリークエンシーが高くなり、抜群のマインドシェア効果が発揮されるのは、おそらく正しい仮説だ。

サイゼリヤというワードが、ことあるごとに誰かから発信され、履歴となり、記憶される。狭い生活圏であればなおさら、その誰かは、近しい間柄である可能性が高く、エモーショナルに記憶される。その出現頻度がある一定値を超えると、「ちょっとお腹すいたね」「どこかに集まろ」で想起される1stチョイスは必ず「サイゼリヤ」になるというストーリーだ。

以上

結局今回は、サイゼリヤを題材にして、中高生のライフスタイルについてイメージを膨らませるということをやったわけだが、大まかな部分では"大人と変わんねえじゃん"がざっくりとした結論。

人間の本質的な心理・欲求・行動についてはきちんとフレーム化しておこう!と改めて認識した。

ちなみに、業績不振のマクドナルドは、やはり中高生の離脱が顕著で、全国に勢力を伸ばしている喫茶店チェーン、コメダ珈琲は、中高生をきっちりと獲得しているとのこと。

狙うべきターゲットとして、絶対に語られることがない中高生だが、郊外の店舗ビジネスにとっては、意外や重要な存在なのかもしれない。