道幸せんせいとワークルールを学ぼう! テーマ 採用内定

学生にとって社会に踏み出す重要な一歩となる「採用内定」。そのワークルールを確認しておこう。
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現在、3月説明会解禁、6月試験・面接解禁、10月内定というスケジュールで行われている企業の新卒学生採用選考。今年9月、経団連がその「指針」の廃止をめざすと表明し、波紋を呼んでいる。学生にとって社会に踏み出す重要な一歩となる「採用内定」。そのワークルールを確認しておこう。

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解説

 毎年、10月に多くの企業が来春入社予定の学生を対象に内定式を開きます。この採用過程において多くのトラブルがあります。

 新卒者の内定の場合、判例は、採用内定通知とその後の関係書類の提出によって労働契約が成立するという見解を採用しています(大日本印刷事件・最二小判昭和54年7月20日)。したがって、Ⓐは正しい説明です。

 労働契約が成立すると、企業は内定を自由に取り消すことはできません。内定を取り消すには、客観的に合理的と認められ社会通念上相当といえる理由が必要とされています。卒業延期、健康状態の著しい悪化、虚偽申告の判明、犯罪行為で逮捕された場合などがこれにあたります。よってⒷは誤った説明です。

 採用担当者が学生に他社に対する就職活動を終えるように強要することは「オワハラ」といわれ、就職活動をやめるよう強要する行為は、悪質な場合には不法行為として損害賠償の対象になる可能性があります。つまり、Ⓒは正しい説明です。

 学生からの内定辞退は、原則として自由です。しかし、複数の内定をもらった学生がいつまでも就職先を決められず、入社直前の3月末になって内定を辞退するケースもあります。内定辞退が企業の信頼をはっきりと裏切る形でなされた場合には、不法行為が成立する余地も残されています。そのため、Ⓓは誤った説明です。

[正解] ⒷⒹ

道幸哲也 どうこう・てつなり

(一社)日本ワークルール検定協会 代表理事、北海道大学名誉教授

北海道大学大学院法学研究科修士課程修了。小樽商科大学商学部助教授、北海道大学法学部教授、放送大学教授などを歴任。2007年、NPO法人職場の権利教育ネットワークを設立。「ワークルール検定」の立ち上げに尽力し、2013年に設立された検定協会の代表理事に就任。著書に『労働組合法の基礎と活用』(日本評論社)、『雇用社会と法』(放送大学教育振興会)など。

ワークルール検定とはワークルールに関する一般的な知識を問う検定試験。厚労省も後援。

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