「Ryugu」(リュウグウ)と命名 はやぶさ2が着陸する小惑星は、どんな星?

小惑星探査機「はやぶさ2」が目指す小惑星1999 JU3の名称が「Ryugu(リュウグウ)」に決定した。
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JAXA

小惑星探査機「はやぶさ2」が目指す小惑星1999 JU3の名称が「Ryugu」(リュウグウ)に決定したと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が10月5日、発表した。仮符号の「1999 JU3」という名前は一般に馴染みにくいため、7月から8月にかけ小惑星の名称案を募集していた。

■Ryuguに決まった4つの理由とは?

JAXAによると、選考委員会でRyuguが選ばれたのは、昔話の「浦島太郎」にあやかることなど、4つの理由があるという。

(1)「浦島太郎」の物語で、浦島太郎が玉手箱を持ち帰るということが、「はやぶさ2」が小惑星のサンプルが入ったカプセルを持ち帰ることと重なる。

(2)Ryuguは水を含む岩石があると期待されており、水を想起させる名称案だ。

(3)既存の小惑星の名称に類似するものが無く、神話由来の名称案の中で多くの提案があった。

(4)Ryuguは「神話由来の名称が望ましい」とする国際天文学連合の定めたルールに合っていて、商標権等の観点でも大きな懸念はない。

JAXAが提案した小惑星の名前を、国際天文学連合が最終決定した。通常、審査に3ヶ月程度かかるが、異例の速さで審査を終え、小惑星リストにRyuguが掲載されたという。

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Ryuguと命名された小惑星1999 JU3(最も左)と、東京スカイツリーなどとの大きさの比較。右から2番目は「はやぶさ」が着陸した小惑星イトカワ

■Ryuguってどんな星?

「はやぶさ2」は、2014年12月に種子島からH-IIAロケットで打ち上げられた。2018年に小惑星に到達、地表からサンプルを回収する。地球に戻ってくるのは2020年になる見込みだ。往復6年かけて52億キロの旅路を経て、太陽系や生命がどのように誕生して進化してきたか。その謎の解明に迫るという。

JAXAの解説によると、Ryuguの大きさは、直径900mと小型。ほぼ球形をしている。地球に接近する軌道を持つ地球接近小惑星の一つで、地球と火星の間の軌道を、約1年4カ月ほどかけて太陽を一周する。

無数にある小惑星の中からRyuguを目指すのは有機物や水を含む「C型」という地球の近くでは珍しい小惑星だからだ。生命の起源となる有機物がどのように宇宙で形成されたのかを解明する手がかりになるという。打ち上げ前の会見で、「はやぶさ2」の國中均(くになか・ひとし)プロジェクトマネージャーは、以下のように説明していた

「はやぶさ1が出かけたイトカワはS型で、石が主成分です。地球の近くにはS型は非常にたくさんあるので、行きやすい小惑星といえばS型ですが、今回はあえてC型を狙って、『はやぶさ2』を開発しました。C型の小惑星は地球の近くにあるのは非常に数が少ない。ここ10年のうちに行けるであろう小惑星は、2〜3しかない。そのうちの1つを狙って、打ち上げ期間が限られた大変難しい条件に間に合わせました」

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