なぜ世の中にはこんなに対立が多いの? りゅうちぇる「すべての意見に一理ある、って思える大人が少ないから」

「僕は批判する人たちの意見を封じ込もうとも、攻撃しようとも思いません」。
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大好きなパートナー、ぺこさんと家庭を築き、今は1歳の息子リンクくんの育児に奮闘中のりゅうちぇるさん。パパになっても、かわいく楽しく自分らしくを貫き、時に病んだり時に悩んだりしながらも、一歩一歩前に進んでいます。

10月14日に行われた「朝日地球会議2019」で、りゅうちぇるさんとハフポスト日本版の竹下隆一郎編集長が対談。

あまりにも参加希望者が多く、中に入れなかった人も…。それではもったいない!と思ったので、最前列でトークを聞いていた私が、りゅうちぇるさんの名言をピックアップ。悩めるすべての人に響く「言葉のビタミン」を集めました。

文・石川香苗子 ( @KANAKOISHIKAWA )

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対談の様子 朝日地球会議2019(10月14日)
撮影・岡田晃奈(Okada Akina)

この地球上に絶対、あなたをわかってくれる場所がある

■りゅうちぇるさんはどうしてそんなに、ポジティブでフェアでいられるの?

「世の中には僕のことをわかってくれる人がきっといる」って信じられるようになったから。中学生の時は毎日病んでたけど、高校に入ったらみんなが僕のことを「素敵だね」って言ってくれるようになって。誰にもわかってもらえないって決めつけてたのは僕の方だって、わかった。

■自分の居場所って、どうやってつくったらいい?

自分を知っている人が誰もいない場所に行く! 家族にも友だちにも、職場の人にも自分を出す必要なんかない。SNSでもどこでもいい、自分をわかってくれる場所、自分を出せそうな場所へ行ってみて。 

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りゅうちぇるさん

ご飯ものどを通らないくらい傷ついたことがあるよ

■もう傷つくことに疲れました……。

僕も何一つポジティブに考えられなくて、ご飯ものどを通らないくらい傷ついたことがあるよ。でもね、一人でもわかってくれる人がいるなら、その人にちゃんと甘えて肩にもたれかかってみてね。ガラスのハートも、いろんな経験をしたら何があってもへこたれない強いハートになるよ。 

 ■どうしたら夢って叶う?

僕は18歳になったらこうなる、20歳になったらこうなるって、なりたい自分の姿を書き出しました。上京する時にそのメモを持っていって。その時の自分に恥ずかしくない自分になるんだってがんばった。自分を奮い立たせるのは、過去の自分がかけた未来の自分への期待だよ。

■ぺこさんって、どんな存在?

「この人と一緒にいる自分が好き」「この人となら高め合っていける」って思えた初めての人。相手の色に全部染まったり、自分がなくなったりしない。周りの目を気にせず自分を曲げなかったからこそ、自分を貫き通している人と出会えた。僕の鏡のような人です。 

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ベストウエディングアワードにぺこ&りゅうちぇる=2018年05月01日(時事通信)

育児の合間にできる“飲み会じゃない”趣味、つくりました

■子育てで気をつけていることは?

あらゆる人を受け入れる英才教育をすること。リンクは、もう僕の友だちのぺぇ(@peex007)をはじめとしてすごい個性的な友だちといっぱい会ってる。世の中はいろんな意見で成り立っているから、それを全部受け入れて自分の考えもオープンにできる子になって欲しい。

■子育てと自分の趣味のバランスは?

あのね、パパが一人で飲み会とかゴルフとか、海外旅行とか行ってもいいけど、帰ってきた時、パートナーが「パパだけ一人で出かけていいなぁ」って、不満そうな顔をしてたら楽しかったことも台無しでしょ? だから、息子が寝た後にできる趣味を新しくつくりました。NETFLIXを見ながらポップコーンとアイスを食べて、映画やドラマに夢中になる。最高よ?

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りゅうちぇるさん

「(息子の)リンクはこれだけたくさんの意見のある社会に飛び立っていくんだな」 

■イクメン・オブ・ザ・イヤーを取った感想は?

ママがお仕事してる時に「今日はパパが子どもを見てくれてます」っていうと「パパすごいねー」ってなっちゃう世の中が嫌。パパが育児参加することは当たり前でしょ。なんで男性が同じことをしただけで褒められるの? パパとかママである前に、この子を愛している親だもん。 

■お子さんを積極的に外に連れて行ってますよね? 電車の中の反応が怖くないですか?

満員電車に乗っている子どもを見ただけで怒ってしまうのって、人のことを表面的にしか見ていないからですよね。どうしても病院に行かなきゃいけないとか、人にはそれぞれバックグラウンドがあります。そこに目を向けてあげられる、思いやりのある世の中になったらいいな。

■タトゥーを入れたとインスタに投稿したら批判が殺到したこと、つらくなかったですか?

ええ。でもどのコメントも「批判」とは思わず、「一意見」だと思って読みました。そして「リンクはこれだけたくさん意見のある社会に飛び立っていくんだな」って、気づきました。

今この瞬間から、めいっぱい自分を愛そう

■自分らしく生きていくために必要なことは?

「誰ともかぶらない!」と決めること。「若い男の子で、かわいくてメイクも似合って、しかもパパで、見てるとハッピーになれる」という立ち位置は絶対に譲らない! 時代に合わせて自分を変えるんじゃなくて、自分らしさを磨き続ければいいんだと思います。

■なんで世の中には対立が起こるの?

「誰のどんな意見にも一理ある」って、思えない大人ばっかりだから。誰もが「すべての意見に一理ある」って思えたら、多様性のある社会になるよ。僕のことを批判する人がいたっていい。そういう人に「あなたは間違ってる」って押しつけたら僕の決めつけだし、意見の強要。それじゃ、批判する人たちがやってることと同じだよね。僕は批判する人たちの意見を封じ込もうとも、攻撃しようとも思いません。

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りゅうちぇるさん
撮影・岡田晃奈(Okada Akina)

いい社会をつくるために、今すぐ自分を愛して

■自分の軸がぶれそうになったら、どうする?

とにかく自分を愛してあげて! 誰に何を言われても、どんなときも。そしてコンプレックスや孤独を吹き飛ばしてくれる大好きな歌やドラマや映画を見て、自分もきっとこうなれるって人生を全肯定して!  

■(会場からの質問)バイトで「女の子にお酒をついでもらって嬉しい」って言われてモヤモヤしました。りゅうちぇるさんは、ジェンダーに関する“モヤモヤ”、どうしてる?

あ、それ。言った人に悪気はないから。僕も「ジェンダーレス男子」とか「女の子みたい」とか言われてモヤモヤしてた。でも、若い時に傷ついた言葉も、おとなになったら傷つかなくなるから大丈夫。いろんな「決めつけ」とうまく付き合えたら、傷つくことから自分を守ってあげられるようになるからね。

 

 

■どうしたら、明日から自分らしく生きていける?

今この瞬間に、自分から変わろう。この世の中には、愛が足りないの。みんなもっと認められたいし、もっと愛が欲しい。それに気づけないから人に意地悪したり、「自分なんて必要ない」って思っちゃう。いい社会をつくるためには、まずは今すぐ自分を愛してあげて。自分を愛するからこそ、自分に自信が出てきて人のことも愛せるようになるから。

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りゅうちぇるさん
提供写真

りゅうちぇるさんプロフィール

1995年9月29日、沖縄生まれ。「普通」の男の子像からはみ出している自分に、生きづらさを感じていた学生時代。その状況を変えたいという気持ちからTwitterを始め、偽りない自分を発信し始める。高校卒業後、どんな個性も受け止めてくれる街「原宿」に上京し、ありのままの自分を表現していくことを決意。オリジナリティあふれるファッションセンスで、ショップ店員をするかたわら読者モデルとして活躍。その後、テレビ番組出演をきっかけに、奔放なキャラクターで全国区のタレントとなる。

そして2018年、「自分の色を取り戻そう」をテーマに掲げ、“RYUCHELL”名義で音楽活動を本格始動。2019年4月にデビューアルバム「SUPER CANDY BOY」をVirgin Musicよりリリース。

また2018年7月に愛妻ぺことの間に誕生した長男を、協力しあって育児する姿に「新しい家族像」として多くの共感を集めている他、「自分を愛し、多様性を認め合おう」というメッセージを発信する姿勢が評価され、2018年9月に「渋谷ダイバーシティエバンジェリスト」に就任。また東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年7月に向けて、多様性にあふれ皆で支え合う社会の実現を目指す取り組み、日本財団主催「True Colors Festival -超ダイバーシティ芸術祭-」のアンバサダーに就任、活躍の場を広げている。

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