ロシア帝国時代に発行された国債を購入したフランス人の子孫ら約40万人が、ロシアに返済を求める活動をしていることが明らかになった。
フランスの国際放送局「ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)」などが1月13日に報じた。返済要求額は、総額300億ユーロ(約4兆円)にのぼるという。
問題となっているのは、ロシア帝国が1867年、鉄道事業のための資金調達を目的として発行した国債。その際、ロシア側は金を担保にしていた。
フランス人らは約30年間にわたって国債を購入し、総額150億フランに上ったという。現在の価値で530億ユーロ(約7兆円)に相当する。当時の有価証券約2800万枚は債権者らの子孫らが「相続」し、現存しているという。
ロシア国営ノーボスチ通信によると、ロシア帝国を打倒し、ソ連を建国した指導者レーニンが1918年に返済の拒否を決定。一部を除いて債権者らは返金を受けることができなかったという。
ロシアの経済紙「エルベーカー」によると、ソ連崩壊後の1997年、ソ連の後継国家ロシアはフランスと条約を結び、フランス側に4億ドル(440億円)を支払った。
一方で、第二次世界大戦でドイツが降伏した1945年5月9日までに生じた一切の借金について、両国とも支払いを請求しないことでも合意。それぞれの自国民が要求しても、それを後押しするようなことは控えることも取り決めたという。
RFIによると、返済を求めている人たちは「国際ロシア債権者連盟」を組織している。連盟トップのエリック・サニタス氏は「ロシアは倒産していない。国債の返済に期限はなく、必ず支払わなければならない」と話した。
この問題に詳しいロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所のウラジーミル・オレンチェンコ氏はロシア国営ラジオ局の取材に対し、「この問題については1990年代に両国間で活発に議論され、合意に達した」と話し、解決済みとの認識を示した。その上で「今になって問題が浮上したのは、政治的な思惑がある気がする」と述べた。
ノーボスチ通信によると、フランスの経済省は「国家間においてこの問題は解決済み」としているが、個人が追加的な返済を要求した場合、行政としてそれを禁止する立場にはないとも主張しているという。