ロシアのプーチン大統領は4月13日、ロシア製地対空ミサイルシステム「S-300」のイランへの禁輸措置を解除する大統領令に署名した。2日にアメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシア・ドイツの6カ国がイランとの間で核問題を巡る枠組み合意をまとめたのを受け、輸出の解禁に単独で踏み切った。しかし、アメリカや欧州各国は、イランとの最終合意に至るまで制裁は解除しない方針であり、反発は必至だ。
ブルームバーグによると、S-300をめぐっては、ロシアとイランは2007年に8億ドル(約960億円)相当の輸出契約を結んでいた。しかし、2010年に国連安全保障理事会決議でイランへの追加制裁を決めたことなどを受け、ロシアはS-300の輸出を禁じていた。
この輸出解禁には、ロシアのイランへの経済・軍事両面での影響力を拡大する思惑があるとみられる。ロシアのリャプコフ次官はこの日、「原油とのバーター取引を既に実施している」と言明。イランの原油と、ロシア産の穀物や機械などのバーター取引が開始されたとした。ウクライナ危機や原油価格下落で低迷する自国経済を支えるため、ロシアがイランに接近する姿勢が鮮明になった。
アメリカ国務省のハーフ報道官代行は13日、ロシアがイランにミサイルを売却したとしても、イランに対する国連安保理の制裁決議の違反には当たらないとの認識を示した。しかし、ロシアに対して「現段階での解除は建設的ではないと伝えた」と述べたという。NHKニュースはアメリカがロシアへの厳しい批判を避けた背景について、イラン核開発問題の最終合意までは今後も難しい交渉が続くことから、この問題でロシアとの対立を深めることは得策ではないという考えがあったのではないかと分析している。
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