ソチオリンピック、フランスのオランド大統領もドイツに続き参加見送り ロシアの同性愛規制に抗議か

フランスのファビウス外相は12月15日、2014年2月に開催されるソチオリンピックについて、オランド大統領など政府高官は出席しないことを明らかにした。理由は明言しなかったが、ロシアで2013年6月に成立した同性愛を規制する法律など同国の人権問題に対する抗議が込められている...
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SAINT PETERSBURG - SEPTEMBER 06: President of the Russian Federation Vladimir Putin, (L) and President of France, Francois Hollande attend a meeting with Business 20 and Labour 20 representatives during the G20 summit on September 6, 2013 in St. Petersburg, Russia. Leaders of the G20 nations made progress on tightening up on multinational company tax avoidance, but remain divided over the Syrian conflict as they enter the final day of the Russian summit. (Photo by Alexey Filippov /Host Photo Agency via Getty Images)
Handout via Getty Images

フランスのファビウス外相は12月15日、2014年2月に開催されるソチオリンピックについて、オランド大統領を含む政府高官は出席しないことを明らかにした。理由は明言しなかったが、ロシアで2013年6月に成立した同性愛を規制する法律など同国の人権問題に対する抗議が込められている可能性がある。47NEWSなどが伝えた。ドイツのガウク大統領も不参加の方針を示しており、波紋が広がっている。

時事ドットコムによると、ファビウス外相は同国のラジオ番組で「大いに成功することを望むが、仏政府からの出席は予定されていない」と述べた。

オランド大統領は昨年の大統領選で同性婚解禁を公約に掲げるなど同性愛者の権利擁護に理解ある立場で知られる。フランスでは今年5月に同性婚解禁法が公布された。

(47NEWS「仏大統領もソチ五輪欠席 独に続き人権政策抗議か」 2013/12/16 06:05)

■ドイツ大統領も同性愛規制で「ボイコット」?

ソチオリンピックをめぐっては、ドイツのガウク大統領も出席を見送る方針を示している。大統領府は「大統領が冬季五輪へ必ず出席するという決まりはない」とボイコットを理由としていないが、国内では、抗議のボイコットだとする見方が強い。

同性愛規制などロシアの人権状況への国際的な批判は根強く、ドイツ国内では大統領の五輪欠席は抗議のボイコットだとの見方が強い。ガウク氏は、昨夏のロンドン五輪には出席した。旧東独の人権活動家出身で、ロシアでの人権侵害に批判的と見られている。

(朝日新聞デジタル「ドイツ大統領、ソチ五輪欠席へ 同性愛規制などに抗議?」2013/12/9 17:16)

■同性愛者が公然と交際・レストランで同性愛語る・パレードも処罰対象の可能性

ロシアで今年成立した「同性愛宣伝禁止法」は、「非伝統的な性的関係」について、未成年者に対して情報を提供することを禁じている。しかし、幅広く解釈できる文言であるため、レストランなど不特定多数が集まる場所で同性愛について語ることや、同性愛者のパレード、同性愛者が公然と交際したりすることも処罰の対象になり得るのではないかと指摘されている。このため、同性愛者への差別や圧力につながりかねないとの懸念が高まっている。

【同性愛宣伝禁止法】

「非伝統的な性的関係」を未成年者に知らしめる行為を禁止した法律。ロシア社会の同性愛への偏見は根強く、旧ソ連時代は犯罪行為とされていた。現在も同性婚は公認されていない。

同性愛者への圧力は強まる傾向にあり、宣伝禁止法以外にも、国外の同性婚カップルがロシアの子供を養子にすることを禁じる法律が成立した。全ロシア世論調査センターによると、同性婚への反対は2005年に59%だったのが、13年には86%に急伸している。

(Kotobank「同性愛宣伝禁止法」)

■「IOCは人権抑圧を見て見ぬふり」

ロシアでは2014年2月にソチオリンピックを控えており、国内外から参加する同性愛者のスポーツ選手が標的になるのでは、との懸念の声が上がった。朝日新聞デジタルによると、外国人がこの法律に違反した場合、最高で15日間の拘留や国外追放になる可能性があるという。

国内外の著名人や同性愛者の権利擁護団体などから批判の声が高まり、ソチオリンピックの中止やボイコットを呼びかける声も上がった。

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MADRID, SPAIN - AUGUST 23: Protestors hold graphic images of Russian President Vladimir Putin wearing lipstick during a protest against Russian anti-gay laws opposite the Russian embassy on August 23, 2013 in Madrid, Spain. Gay protestors are protesting Russia's new anti-gay laws and demanding the cancellation of the upcoming 2014 Winter Olympics scheduled to be held in Sochi, Russia. (Photo by Denis Doyle/Getty Images)

今年8月に行われた世界陸上では、金メダルを獲得したロシアの女性選手が表彰台でキスを交わし、同性愛宣伝禁止法への抗議か、と物議を醸した。 

世界人権デーの12月11日には、同性愛者の活動家として知られる元女子プロテニス選手のマルチナ・ナブラチロワさんが、プロ・バスケットボール選手で同性愛者であることを明らかにしているジェイソン・コリンズさんとともに国連本部で会見し、ロシアの同性愛宣伝禁止法について、国際オリンピック委員会(IOC)は人権抑圧を見て見ぬふりしていると批判した。

IOCはロシア政府から「五輪は適用外」と確約を得ており開催に支障はないとしているが、ナブラチロワさんは「選手の安全」確保を求め「(五輪開催の)3週間が過ぎたらどうなるのか」と指摘。閉幕後は同性愛者の権利や平等をアピールした選手が処罰され得るとの懸念を示した。

(MSN産経ニュース「『IOCは抑圧見ぬふり』ナブラチロワさんもロシア批判」2013/12/11 08:44)

欧州連合のレディング欧州委員会副委員長もツイッターで「マイノリティが現在のロシアの法律で扱われる限り、私は確実にソチに行きません」と書き込んでいる。

この法律に署名したロシアのプーチン大統領はソチオリンピックでは同性愛者の選手や観客も歓迎するとしている。しかし、こうした国内外からの反発は止まらない。ソチオリンピック組織委員会は、開催期間中、市民や反政府デモが自由な表現活動ができる「抗議ゾーン」が設ける方針だ。

※「同性愛宣伝禁止法」や、この法律を理由にソチオリンピックへの参加を「ボイコット」することについて、どう思われますか。みなさまのご意見お聞かせください。

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