「パキスタンがロシアへの経済制裁として、全ての借金の返済を拒否する」という情報が3月2日、SNS上で拡散した。
「それは制裁じゃなくて、ただの踏み倒しだ」と突っ込むツイートが1500回以上もリツイートされている。その結果、午前11時ごろの日本のTwitterトレンドでも「パキスタン」というワードが表示された。
しかし、この情報はフェイクニュースだった。くれぐれもデマを拡散しないように注意してほしい。
■「10億ドル以上の負債を今後返済しない」とパキスタン首相が記者会見したという記事が拡散
この情報の元ネタは、インドの会社が運営していると称する「The Fauxry」という英文サイトだ。2月28日に掲載された記事だった。
この記事では、パキスタンのイムラン・カーン首相が記者会見の中で、ロシアのウクライナ侵攻の試みを非難し「厳しい経済制裁を課す」と述べたと報じている。経済制裁の内容について問われたイムラン・カーン首相は「パキスタンが抱えている10億ドル(約1150億円)以上の負債を今後返済しない」と答えたという。
■侵攻開始した日にプーチン大統領と首脳会談。小麦の輸入、天然ガス購入を発表したばかりだった
しかし、記者会見をしたはずなのに、同様の報道をするメディアは見当たらなかった。イムラン・カーン首相はウクライナ侵攻が始まった2月24日、訪問先のモスクワで、ロシアのプーチン大統領と首脳会談した。侵攻について「遺憾の意」を表明するに留まった一方で、ロシアから約200万トンの小麦を輸入し、天然ガスを購入すると発表していた。
時事ドットコムは「パキスタン首相のロシア訪問は23年ぶり」とした上で、アフガニスタン情勢をめぐってアメリカとの関係が悪化する一方で、ロシアとのつながりを誇示する狙いがあると報じていた。
■元ネタのサイトをよく見てみると…
これは明らかに情報が矛盾している。そこで「The Fauxry」のトップページをスクロールさせると、以下のような注意書きを発見。先ほどの記事はフェイクニュースであることが明らかになった。
「Fauxyはエンターテインメントサイトです。このサイトの内容は純粋にエンターテイメント目的であり、読者はThe Fauxyの記事を真実と誤解しないようにお勧めします」