今年からメジャーリーグでプレーしているエンゼルスの大谷翔平選手(24)が11月12日(現地時間)、アメリカンリーグの新人王に選ばれた。共同通信などが伝えた。
日本人としては2001年のイチロー選手(当時マリナーズ)以来、17年ぶり4人目の快挙となった。
大谷選手は投手と打者の「二刀流」をこなす珍しいスタイルで日本球界を席巻。昨年オフシーズンにポスティングシステム(入札制度)を利用し、野球の世界最高峰であるメジャーに挑んだ。
オープン戦こそ打率1割台、防御率27.00と振るわなかったが、シーズンが開幕すると投打で活躍。投手としては6月に右肘のじん帯に損傷が見つかって一時離脱、9月にも新たな損傷が見つかるなど「不完全燃焼」だったが、ベースボール専門メディア「Full-count」によると、最終的には4勝2敗、防御率3.31、63奪三振の成績をマークした。
一方、打撃面ではスイングスピードの速さと選球眼の良さで長打を連発。104試合に出場し、打率2割8分5厘、ホームラン22本、61打点を記録した。
特にホームランはセンター方向が多く、打球速度と飛距離がメジャートップクラスと話題になった。
大谷選手は走力のポテンシャルも見せつけた。今シーズンは盗塁を10個決めており、しばしば相手チームにとって驚異となってきた。こうしたことも新人王選出にあたって好材料となったとみられる。
メジャーリーグの新人王を獲得した日本人はこれまで、トルネード投法でわかせた野茂英雄投手(ドジャース、1995年)、落差の大きいフォークボールを武器にした佐々木主浩投手(マリナーズ、2000年)、メジャーでも打撃部門で数々の記録を樹立したイチロー外野(マリナーズ、2001年)の3人いる。
新人王争い、最後まで予断許さず
常識はずれの「二刀流」の活躍を見せた大谷選手だが、新人王の獲得は最後まで予断を許さなかった。
最大のライバルはヤンキースのミゲル・アンドゥハー選手で、打率2割9分7厘、ホームラン27本、打点92を記録。新人としては図抜けた好成績で、一時は大谷選手を抑えて新人王に輝くとの観測も流れた。
ただ、最終的に大谷選手に軍配が上がったのは、打者としての活躍はもちろん、投手としての投球内容が高く評価されたからだとみられる。
大谷選手は160キロを超えるストレートと鋭く曲がるフォークボール、スライダーなどを駆使してメジャーの強打者たちを力でねじ伏せた。
力と技を兼ね備えた投球スタイルは、成績以上のインパクトをメジャー球界に与えた。
新人王の投票は、全米野球記者協会に所属する30人の記者が投票。1位(5ポイント)、2位(3ポイント)、3位(1ポイント)とランク付けして投票し、最終的に獲得ポイントの多い選手が新人王に輝く仕組みだ。
地元メディアによると、大谷選手は137ポイントを獲得。アンドゥハー選手は89ポイントにとどまり、結果的には大きな差がついた。
シーズンが終わってすぐに大谷選手はトミー・ジョン手術(じん帯再建手術)を受けた。投手として登板するのは2020年の見通しで、それまで二刀流は「封印」されることになる。
だが、打者に専念した場合どれだけの成績が残せるのか、逆に注目が集まることになるだろう。