「世の中には2種類の男しかいない。俺か、俺以外か」
「100人が100人ダメと言っても、その100人全員が間違えているかもしれないじゃないか」
ブロンドヘアにサングラス、気品溢れるスラッとした出で立ち。そして自信に満ち溢れた、ポジティブでユーモアたっぷりな言葉の数々。
“ホスト界の帝王”と呼ばれるROLAND(ローランド)さんが人気だ。3月11日には、初の著書「俺か、俺以外か。ローランドという生き方」(KADOKAWA)が発売された。
ローランドさんは、ホストとしては“異例”の接客スタイルを貫きながら、ナンバーワンの座に上り詰めた人物だ。接客時はお酒を飲まず、代金を店やホストが立て替える「売り掛け」もしない。
現役引退後は、ホストクラブの運営をはじめアパレル商品のプロデュースなど、実業家として活躍しているローランドさんに、自著にかけた思いやポジティブに生きるための心構えを聞いた。
「誰かにもっと元気を与えたい」 本に込めた思い
ーー初の著書が発売されます。今の心境を教えてください。
すごく達成感がありますね。本を書くことがこんなに大変だとは知らなかったので、本当に苦労しました。それこそ句読点一つ入れるか入れないか、そこまでこだわった作品なので、発売を控えて達成感を感じてます。
これから考えが変わるかもしれないですけれど、現時点では、自分にとって「最初で最後の本」になるのかなと思っています。
ーーもともと本を出したい、という思いがあったのでしょうか?
自分はあれやこれやと偉そうに言える立場でもないですし、生い立ちやプライベートを話さないからこそのミステリアスさって、やっぱりありますよね。
プライベートを切り売りしてお金を稼ぎたいと思ったことは一度もなかったので、「自分の本を出したい」とはそこまで思っていなくて。
ただ、自分が発している”名言”がフィーチャーされることが多くなると、どういう気持ちで発言したのか聞かれたり、「この言葉で元気になりました」と声をかけていただいたりする機会が増えてきて。言葉の真意を聞かれることが本当に多くなったんですよね。
この言葉の奥深くにはこういう願いを込めたんだよ、ということを伝えたら、誰かにもっと元気を与えられるのかなと思って。最初はノリ気じゃなかったんですが、だとしたらやる価値があるかなと思って決断しました。
「印税は全額寄付」の理由
ーー印税の収益は、カンボジアの子ども達の育英、東日本大震災など災害の復興支援のために全額寄付されることも発表しています。全額寄付を決めた理由は?
理由ですか?イメージアップです(笑)。
というのはジョークで...。初めは印税を何に使おうかな、と考えていたんですけれど、もともとあまり物欲がないタイプで。
さらに、幸いなことに自分は体が健康で、家族が健在で、友人にも恵まれている。そして大きくはないにしろ自分の会社を持ち、従業員がいて、一生懸命働いてくれている。
これ以上何か追い求めていることがないな、と思って。じゃあ、この本は読んだ人に元気になってほしいという思いで書くことを決めたので、収益もみんなが幸せになれることに使ってくれたらいいんじゃないかな、と。
本で得られる収益がどれくらいかはわからないですけれど、僕がホストを始めた時はちょうど東日本大震災があった年で。あの時、日本がすごく大変だった時に自分は何もできず、俯瞰して眺めているしかなくて、無力感を感じました。
それから8年が経って、あの時は何もできなかったけれど、今は少しだけでも影響を与えられる人間になれたな、と信じているので。自己顕示欲の一環かもしれないけれど、それを証明したいような思いもあります。
「嫌われたら、まぁしょうがない」
ーー前半部分では、ホストになるまでのエピソードも明かされています。
そうですね。これでも結構、自分のことを出してる方です(笑)。
ーー高校生までサッカー選手になることを目指していて、サッカー強豪校の帝京高校で活躍されていたんですよね。
「世界一のサッカー選手になりたい」とずっと思っていました。やるからには一番を目指さないと意味がない、やるからには「優勝」「世界一」というモチベーションを持ちたいというのが僕の考えなので、「世界一」を目指していましたね。
ただ、トップクラスのプロにはなれないと思ったんです。自分ができる最高の努力をして、最高のパワーを出したとしてもダメなら、もう生まれ変わっても世界一になれないな、と悟ったんです。
大学の入学式で違和感を覚えて、ホストになることを決意して、数日後に大学を辞めました。
ーーローランドさんは、お酒を飲まずに接客するなど、ホストという職業にとっては”異例”のスタイルも貫いています。
お酒を飲まない一番の理由は、接客が乱れたらお客様に失礼だな、と思ったからで。サービスは一定であるべきで、日によって接客の質が上下することは失礼だな、と思ったんです。
次第に接客中に飲みたいと思うことはなくなりましたね。
ーー周りからの無理解や、時には反発もあったのでは、と思うのですが...。
そうですね。でも、周りの意見はあまり気にしないんですよね。
今まで生きていく中で、周りの人にどう思われるか、気にしたことはないです。「嫌われたらまぁしょうがない」、という考えです。
一度きりしかない人生で、自分が思ったことを思ったように言えずに死ぬのは嫌なんですよ。人生が2、3回あるなら、ちょっとくらい気を遣って生きようかな、とか思うんですけれど(笑)。
でも、人生は一度しかないじゃないですか。だからこそ、やりたくないことはやりたくないとハッキリ言いますし、周りの目は気にしないですね。
「一歩を踏み出して、自分の意見を言ってみてほしい」
ーーローランドさんの名言は、すごく自信に満ち溢れていて、ポジティブです。ローランドさんのように物事を前向きに考えるには、どうしたらいいでしょう?
人の考え方を根本から変えることは難しいと思うし、言葉の表面だけを汲み取って「言いたいことを言って生きていこうよ」と伝えたとしても、そう簡単にはいかないですよね。
でも、一回やってみてほしいんです。
本当に嫌なことがあった時、自分が合わないなと思った人に出会った時、勇気を出して「私はこれをやりたくない」「これはおかしいと思う」って、意思表示をしてみてほしいんです。自分の意見を言ってほしい。
直後は、その場はもちろん気まずくなるんですよ。なりますよね(笑)。
でも、不思議と本気で思ったことを言うと、後々その人と仲良くなったり、本音でわかりあえる時がくると思うんです。
人生ってなんとかなるから大丈夫ですよ。追い込まれたらなんとかしようとする自分が絶対にいるはずなんです。
だから一度、勇気をもって一歩を踏み出して、自分が言いたいことを言ってみてほしいですね。