大分県佐伯市は12月25日、既に制作し、配布を予定していた冊子の配布を見送ると発表した。カレンダーに、大安や仏滅などの「六曜」を記載していたことが、配布中止の理由だという。
発表によると、市側は、六曜が現在でも多くの暦に記載されている一方、前時代的な迷信で人権問題の解決を阻むものとの指摘があると説明。「人権問題に関して、皆が思い込みや偏見を無くし、迷信や世間体にとらわれず判断する力を付けることが必要であると考え、啓発にも取り組んでいます」とした上で、六曜が記載されたカレンダーは、自治体の配布物としては好ましくないと判断したとしている。
同様に、大分県の杵築市(きつきし)も2016年カレンダーの配布の見送りを発表。大分県や6市町村などでつくる「国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会」と臼杵市農業委員会も、六曜を記載していたとして、カレンダーの回収を始めた。
一連の報道を受け、佐伯市には「六曜が記載されていても冊子を配布してほしい」「六曜そのものを差別問題として考えるのはどうか」といった要望や苦情が、25日午後5時までに20件寄せられた。ネットでも「意味がわからない」などの指摘が出ている。
なぜ、六曜が差別につながると考えられるのか?
■六曜とは?
六曜は、暦上の日を、先勝(せんしょう)・友引(ともびき)・先負(せんぶ)・仏滅・大安・赤口(しゃっこう)の6種の吉凶日に分けたもので、中国に起源を発するといわれている。
大安は吉日とされて結婚が行われたり、友引は葬式に好ましくない日などとして、現在も広く行われているが、六曜の各日は、旧暦の(月+日)を6で割った余りという、単純計算で求めることができる。
兵庫県教育委員会・公式サイトより
■六曜は差別につながるの?
六曜が差別につながるとの考え方、部落問題の教育のために出てきた考え方だ。六曜はだが、科学的な理由がない迷信が差別につながると、宮崎県の公式資料は指摘している。
「仏滅」の「仏」という字は、元々は「物」という字だったのですが、明治時代になって、暦業者が「仏」という字をあてるようになってから、仏教と関係があるように思われ、広く使われるようになりました。しかし、仏教とは全然関係ありませんし、科学的な根拠も全くありません。このように、私たちの社会の中には、多くの人におかしいと疑問を持たれたり、改めなければならないと思われていることがありますが、昔から行われてきたことだからということで、私たちはなかなか自分の自由な意思で行動できません。このことが、これまで迷信や偏見による差別を存続させてきたのです。このような社会体質を改めていくために、私たちは日常の意識や生活を見直し、迷信や慣習にしばられることなく、科学的、合理的なものの見方や考え方を身につけることが必要です。また、世間一般の考え方に同調する前に、自分自身で事実を確かめる習慣を身につけることも大切です。
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