適切に怖がるために(高畑紀一)

多くのリスクは「ゼロ」にはできないので、「怖い」という恐怖・不安(や安心)を完全に無くすことは困難です。
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NA via Getty Images

こんにちは、木曜日担当のPlus Action for Children 高畑です。

日々、様々なリスク情報を目にします。

感染症、自然災害、食にまつわる出来事、テロ、事件、etc...。

自分や家族、近い人たちの身にも降りかかるかも知れないリスクがあると思うと、どうしても不安を感じてしまいます。

多くのリスクは「ゼロ」にはできないので、「怖い」という恐怖・不安(や安心)を完全に無くすことは困難です。

また、そのもととなる「リスク」には多くの場合は不確実性があるため、不安を完全にコントロールすることも難しいです。

そしてその恐怖や不安は、私たちの日常生活上の「判断」にも影響を及ぼします。

どうしてもリスクを避けたい、という思いから、必要以上の回避行動をとってしまい、逆に他のリスクを増大させる、なんていうことも珍しくありません。

逆に、不安を抱くことから逃れようと、根拠無く「安全だ」とい思い込み「安心」を得ようとすることで生じるリスクもあります。

また、こうしたリスクの過大評価や過小評価は、自分自身だけではなく、他者をも不幸にすることがあります。

不安に不十分な理解や誤解が伴うことで、差別等を生み続けてきた過去と生み続けている現在があります。

だから、リスクやそれに対する不安と適切に付き合うことが大事です。

不安と適切に付き合うために、その不安を生じている「リスク」を理解する、把握することが必要です。

「この先危険」という看板がある道を、「危険がある」という情報以外の情報を得ずに暗闇の中で進まなければならない場合と、その道の「どこ」が「どの程度」の危険を孕んでいるのかを知った上で進む場合とは、感じる不安には大きな違いがあります。

リスクの正体を理解・把握し、抱く不安を過大でも過小でもなくすることで、日常生活における様々な判断もよりリーズナブルなものになります。

この「リスクの正体を理解・把握する」ためには、量の概念や確率などを理解することや、「無いことは証明できない」という論理の原則を踏まえておく必要があります。

これらを身につけ、さらには玉石混交の情報の中から、信頼できる情報を選び出すスキルも求められます。

Plus Action for Childrenでは、「適切に怖がる」ために必要なこれらを身につけられるよう、これからも学習会などを重ねていきます。

木曜日担当・高畑紀一@一般社団法人 Plus Action for Children

2004年、当時3歳だった長男がインフルエンザ菌b型(Hib/ヒブ)による細菌性髄膜炎に罹患、「今晩一晩が山」という状況に陥る。

幸い、奇跡的に回復することができ、「運悪く稀な病気に罹り、運良く回復できた」と考え、それ以降は病気のことを考えない、思い出さないようにして日々を過ごす。

その後、ヒブによる細菌性髄膜炎がワクチン(ヒブワクチン)で防ぐことができる疾病であること、2004年当時、既に多くの国々でヒブワクチンが導入され子 どもたちが細菌性髄膜炎から守られていたことを知り、「運悪く稀な病気に罹った」のではなく、ワクチンで防ぐことのできる疾病から守ってあげることができ なかった、自分自身を含む大人たちの不作為で生死の淵を彷徨わせたのだと後悔する。

この経験をこれ以上、繰り返さないため、ワクチン後進国と揶揄されるわが国の状況を改善し、子どもたちがワクチンで防ぐことのできる疾病から守られる環境を整えるため、活動に参加。

その後、ワクチン・予防接種だけにとどまらず、子どもたちを取り巻く環境を改善するため、そしてそのために行動する大人を支援するため、「一般社団法人 Plus Action for Children」を設立、現在に至る。

(2015年2月5日「ムコネットTwinkle Days 命耀ける毎日」より転載)