リケジョdeタンゴ、組合で変わった私

「自分の経験を伝えることで人の役に立てたらいいな」。連合の活動を通して、自分自身が変わったという公門えつこさんの活動をご紹介。
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【全国でキラリ働き女子つなが~る中!】

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公門えつこさん 連合滋賀 女性委員会 幹事 UAゼンセン 東洋紡績労働組合 堅田支部 執行委員

自分の経験を伝えることで人の役に立てたらいいな

―研究所勤務ということは、いわゆる「リケジョ」ですね!

はい(笑)。高校のときに進路選択で理系を選び、大学は工学部に進みました。4年生から大学院を出るまでの3年間は研究室で朝から晩まで実験ばかりしていました。就職先を考える際も、これまでの専門知識や研究の経験を生かせる場をと思い、東洋紡績株式会社(現:東洋紡株式会社)を志望しました。現在の所属は、わが社では全国で1カ所しかない総合研究所(滋賀県大津市)のシミュレーションセンターです。研究開発全般を支援するインフラ部門になり、業務では、コンピューター上で製品の変形や製造工程における液体・気体の流れを計算しています。仮想実験のようなもので、製品設計や製造プロセスに関する計算をすることで研究・開発・生産の支援を行っています。「計算の結果が研究開発の役に立ったよ」、「うまく生産できるようになったよ」という話を聞くと、とてもやりがいを感じます。

「リケジョ」が増えていると言っても、まだまだ工学系は女性が少なくて、大学に入学したときは、60人のクラスで女子学生は5人しかいませんでした(当時の校舎では女子トイレが隔階にしか設置されていなかったり...)。就職したとき、総合職の同期60人弱のうち、理系の女性は10人ほど。比率としては少ないのですが、それでも「あ、女性がいっぱいいる」と思ってしまったくらいです。その希少な同期たちが、最近、何人か結婚などで退職・転職しているんです。今の職場で働き続けたいと思っていても、夫の職種や勤務地によっては退職や転勤など難しい選択を迫られることも少なくありません。もちろん、研究所には育休を取得し復職している方もいるのですが、社内結婚されていたり、家族のサポートを受けやすい環境にある方が多いですね。やりがいをもって仕事に励んでいるのに、家庭と仕事の両立でそういった決断を迫られたら、私もとても悩むと思います。結婚や出産・育児に関わる女性の就労継続のための働き方については、男女平等参画推進計画の運動目標にも掲げられていますが、「リケジョ」の活躍を促進していくには、業界特性を踏まえた視点も必要かなと思います。

ほぼ「毎日」組合活動

―組合加入はいつから?

ユニオンショップ制なので、入社と同時に組合員です。新入社員は研修で3カ月間工場に配属されるのですが、その際に「入組式」がありました。最初の組合員教育の場という感じで、執行部の紹介や「組合とは」といった基礎的な勉強会がありました。今の職場に配属されてからしばらくして、「教育情報部の部員にならないか」と声が掛かり、引き受けました。教育情報部は、機関紙の作成や組合イベント・研修会の企画・運営など活動も多く、部員、副部長を経て、部長になった今は、ほぼ毎日何かしらの組合活動をしている気がします(笑)。

実は私、趣味でアルゼンチン・タンゴを習っていて、昨年の組合イベントでは、「アルゼンチン・タンゴ教室」を開催しました。イベントに参加した組合員の皆さんもすごく楽しんでくれて、とても温かい雰囲気の中で終了しました。まだまだ手探りの部分も多いのですが、少しずつ経験を重ねながら組合員のニーズに応えられる情報発信や組合イベントを開催していけたら、と日々活動しています。

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―連合滋賀の女性委員会に参加するきっかけは?

部員を2年務めた後、副部長になった2012年10月から連合滋賀女性委員会の幹事になりました。それまで、連合についての知識はほとんどなかったので、初めての幹事会は、「行けばなんとかなる!」という気持ちで参加させてもらいました。参加しながら皆さんに追いつこうという思いでしたね。

女性委員会では、主に講演会や学習会のプログラムについて意見交換しています。昨年は、みんなの気持ちが一つになる、とてもユニークな取り組みをしました。春季生活闘争決起集会が3月8日開催に決まった時点で、同時に国際女性デーのアピールをしようということになり、ステージ上でダンスパフォーマンスをしたんです。「男女平等が実現する、みんなが生き生きとした社会にしたい」という希望を込めた歌詞を考え、それを歌に乗せてみんなで踊りました。最初は、遠慮がちだった方も、練習を重ねるうちにどんどんパワーアップして...。本当に役職問わず参加していただけたのはうれしかったですね。

後に、「その日限りではもったいない」「歌詞をもっと広く知ってほしい」という話になって、加盟組織の皆さまのご協力のもと、動画を作成しました。

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今年は、「第4次男女平等参画推進計画」について、構成組織の役員向けと実務担当者向けの2段階に分けたセミナーを企画しています。まず、それぞれの組織のトップに理解を深めてもらって、担当者に「ぜひ実務者セミナーに行ってこい」と言ってもらえるような仕掛けをつくり、組織全体で意識醸成がはかれるようにしていきたいと考えています。

組合活動で自分が変わった

―今後の抱負を教えてください。

いろんな経験を積んで、もっと視野の広い人間になりたいと思っています。組合活動に携わるまで、自分が人前で踊ったり、街頭行動でティッシュを配ったりできる人間だとは思っていませんでした。「執行部に入って変わったな」と、自分が一番驚いています(笑)。人って、何かきっかけがあると、こんなに世界が変わって見えるものなんだと実感しました。技術も人も、ほんのちょっとのきっかけで新しいものやいい結果が生まれることってありますよね。自身がより広い視野を持つとともに、そういったきっかけを誰かに与えられるようになりたい。私が経験してきたことを伝えることで、人の役に立てたらいいなと思っています。

※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2015年5月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。「月刊連合」の定期購読や電子書籍での購読についてはこちらをご覧ください。