PRESENTED BY ワーナー ブラザース ジャパン

世紀の祭典の裏側で起こった爆破事件・・・英雄から容疑者に、世界いち不幸な善人の戦い

ディカプリオがプロデュースしたクリント・イーストウッド最新作
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(c) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
提供写真

「リチャード・ジュエル」――。日本ではあまり馴染みがないが、実在の人物であり「アメリカの英雄」から一転、アトランタ爆破の犯人に仕立てられた男だ。

時は1996年アメリカ・アトランタ。国際的なビッグイベントの警備員を務めていたリチャード・ジュエルは、公園で起きた爆破事件で、爆弾の第一発見者になった。彼が職務に忠実に、警察に通報したおかげで被害は最小限で済んだ。彼は一夜にして、アメリカの英雄になっていく。

メディアはこぞって彼の出演を求め、うだつの上がらない警備員だったリチャードの人生はがらりと変わるはずだった。

ところが一本のスクープにより、彼は一転してFBIが捜査対象とする「容疑者」になっていく。すべては冤罪であるにも関わらず……。

映画『リチャード・ジュエル』本予告 2020年1月17日(金)全国ロードショー

 

『リチャード・ジュエル』は全編にわたり実話を元にストーリーが組み立てられている。アトランタの地元紙がいち早く、彼を実名で「容疑者」として報じた。多くの読者も、メディアもまた「第一発見者の英雄が、実は爆弾犯であり、すべては自作自演だった」というわかりやすいストーリーの虜になった。

このストーリーに一番酔いしれたのは、FBIだ。彼らはさしたる証拠もないままに、なんとなく挙動不審で、怪しそうな見た目のリチャード・ジュエルを、国家を恐怖のどん底に落とし入れた「爆弾犯」にすべく、不必要な捜査を繰り返した。

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ここで起きている話はフェイクニュースという言葉が、流行語を通り越し、日常語として定着した2020年と重なってくる。

一つの違う点は、スマホを持つごく普通の人々もまた「わかりやすいストーリー」に加担し、フェイクを生み出す加害者になる可能性が高まったということだろう。

例えば、2019年夏に起こったあおり運転事件での偽情報がその一例である。まったく関係ない一般女性が、誰かの一言で突然「犯人扱い」され、実名と顔写真がばらまかれた。

ある市議会議員も、ろくに情報源を確認しないまま彼女の写真をSNSに投稿し、「早く逮捕してほしい」とフェイクを拡散した。この市議は、犯人が早く捕まってほしいという彼なりの正義感から情報を拡散したと証言している。

この映画を観て、あらためて思う。96年のアトランタでもFBIやメディアにこれという悪人はいなかった。彼らに批判すべき点は多々あるが、最初から誤りと知りながらリチャードを貶めてやろうという意図はなかった。彼らなりの正義感―早く犯人を見つけ出したい、捜査情報をいち早く市民に伝えたいという思い―によって、リチャードは容疑者に仕立てられていく。

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危うい正義感は誰もが持っており、ここから逃れることはできない。正義感の暴走が生み出していく、フェイクに対してどう立ち向かえばいいのか。


容疑者扱いされたリチャードは社会全体を敵に回すことになった。しかし、彼にはたった一人の味方がいた。弁護士のワトソン・ブライアントだ。職業は違えど、かつて同じフロアで働き、リチャードの職務に忠実な一面を知っていた男だ。

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彼らの戦い方は、自分がなんの根拠もない不名誉な噂を流されたとき、あるいは身に覚えがない疑惑をかけられたとき、これをどう晴らしていくべきかを教えてくれる教科書だ。

一例をあげよう。リチャードはFBIに憧れを持っていた。彼にとって、警備員は夢への第一歩で、本当の夢は警察官かFBIの捜査官になることだった。憧れは弱みになる。国家のために捜査に協力を求められれば、リチャードは断れない。

ワトソンは依頼人であり、仲間でもあったリチャードを一喝する。憧れの存在だろうがなんだろうが、今のFBIはリチャードをなんの証拠もなく犯人に仕立てようとしている。不名誉なレッテルを剥がすために、戦えと常に励まし続けた。

一人ではどうしようもない状況に追い込まれた時、必要なのは仲間である。

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ワトソンは捜査側が組み立てたファクトとストーリーの矛盾を洗い出し、リチャードは爆弾犯ではないと確信を得る。メディアで大きく報道されたり、SNSで大きく拡散されたりする「事実」が「真実」であるとは限らない。

ファクトとファクトを矛盾だらけのストーリーでつなごうとするとき、そこにフェイクが生まれる。

リチャードはワトソンという相棒を得て、彼の力を借りることでFBIの矛盾を突き、戦う覚悟を決める。フェイクがはびこり、矛盾だらけのストーリーがあたかも真実であるかのように語られる現代において、物語終盤にリチャードがFBIの捜査官たちに放つ強烈な一言は、今の社会にこそ必要な教訓が込められている。

 

この作品は1996年を舞台にしたドラマであり、実際に起こったことをベースにしているが、本質的に現代を描いている作品だ。ごく普通の人々がいきなり事件に巻き込まれる可能性があることも、正義感が冤罪を生み出していくことも、疑いを晴らすために戦う必要があることもすべて、僕たちが生きる2020年に通じているからだ。

1996年の事件で未来は予言されていた。いみじくも監督を務めたクリント・イーストウッドはこんなことを言っている。

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「私がリチャード・ジュエルの物語に興味をもったのは、彼がどこにでもいる、ごく普通の人間だったからだ。この物語は、今、我々の周りで起きていることとすごく似ているんだ」、と。

『リチャード・ジュエル』 1月17日(金) 全国ロードショー
公式サイト:richard-jewell.jp #リチャードジュエル