フランス大統領選でフランソワ・フィヨン元首相に大ダメージを与えた「ペネロープ・ゲート」のスキャンダル以来、政治家と家族の優遇をめぐる問題は、どんなに小さな疑惑でも火種となりかねない。
5月24日、風刺色の強さで有名なフランスの週刊紙「Le Canard enchaîné(ル・カナール・アンシェネ、鎖に繋がれたカモの意)」は、政治運動「アン・マルシュ!」の幹事長でエマニュエル・マクロン新内閣では国土団結相を務めるリシャール・フェラン氏についての、ある疑惑記事を掲載した。それによると、同氏が以前幹部を務めていたフランス・ブルターニュの医療系共済組合で、当時フェラン氏のパートナーだった女性がある競争入札を勝ち抜いた際、その女性に有利になるよう不正な取り計らいがなされたとのことだ。フェラン氏は疑惑を完全に否定している。
事の発端は2011年にさかのぼる。当時フェラン氏はまだ社会党の国会議員ではなく、1993年以来ある共済組合の幹部だった。2011年1月ブルターニュ全共済組合は、湾岸都市ブレストに医療センターを招致するにあたって、候補地をひとつ選ばなければならなかった。3つあった入札のうち競争を勝ち抜いたのが、当時まだフェラン氏のパートナーだったサンドリーヌ・ドゥサン氏というわけだ。
明日の「ル・カナール」紙
リシャール・フェランはめられる
不動産と家族問題で
週刊紙の好奇心は細部にまで及んでいる。当時ドゥサン氏の民間不動産会社は、まだまったく法的なステイタスを持っていなかった。ところがこの競争入札を勝ち抜いた途端、建物の所有者となり、それをブルターニュ全共済組合にリースすることを確約したという。またフェラン氏の組合から得たリース保証のおかげで、この未来の大臣夫人ドゥサン氏は、土地購入のためのいかなる資本を払うこともなく、また投資をカバーするための銀行ローンも得た。
こんなことも記事には書かれている。建物の改修を担当したのもこの共済組合で、その改修費は184,000ユーロ(日本円で約2300万円)だったというのだ。週刊紙の表現を借りればこの「家族のための取り計らい」が、フェラン夫人がほんのわずかな出費で一財産を形成するのを可能にしたことになる。
週刊紙のインタビューを受けたフェラン氏は、事実を認めたものの、すべては完全なる透明性のもとで行われたと断言した。「それが一番費用のかからない提案だったからです!価格は市場に見合っていましたし、隠されていることは何もありませんでした。みんなが、その民間不動産会社を経営しているのが私のパートナーだということを知っていました」とフェラン氏は請け合う。ドゥサン氏に契約権を与えたこの決定の妥当性は、共済組合の現運営顧問も認めている。とはいえ当時の会長は、ドゥサン氏が組合幹部であるフェラン氏のパートナーだったということは覚えていないという。
同じく週刊紙の記事内でブルターニュ全共済組合の現運営顧問は、問題の建物は非営利を目的とした組織の「ニーズにあらゆる点で合致している」と保証している。
ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。