世界最大級の飛行機「ムリーヤ」の再建。リチャード・ブランソンさんがウクライナ当局と話し合う

現地視察したリチャード・ブランソンさんが「できる限り助けたいという意欲を表明した」とウクライナ与党議員が報告しました。
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首都キーウでゼレンスキー大統領(左)と歓談をするブランソンさん(6月29日、ウクライナ政府が提供)
via Associated Press

イギリスの実業家で億万長者として知られるリチャード・ブランソンさんが6月29日、ウクライナを訪問した。ロシア軍の攻撃で破壊された世界最大級の飛行機「An-225ムリーヤ」の残骸を視察したブランソンさんは、ムリーヤを再建するプロジェクトについてウクライナ当局者と協議し、「できる限り助けたいという意欲を表明した」という。国営ウクルインフォルム通信などが伝えた。
  

■ブランソンさんが「できる限り助けたいという意欲を表明した」とウクライナ与党議員

 
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2022年4月8日、アントノフ国際空港で破壊されたムリーヤを視察するジャーナリストたち(写真提供:Maxym Marusenko/NurPhoto via Getty Images)
NurPhoto via Getty Images

ブランソンさんが創業したヴァージン・グループでは、航空会社から宇宙旅行まで幅広く手がけている。ヴァージン・グループの公式サイトに掲載されたレポートの中で、ブランソンさんはムリーヤの残骸が残るアントノフ国際空港を視察した際のことを、以下のように綴っている。

 

「ムリーヤ(夢) という愛称で親しまれたこの素晴らしい6基のエンジンを搭載した航空機は、空港の支配権争いで破壊され、残っているのは燃え尽きた残骸だけです。しかし、懸命にこの機体を救おうとする人たちがいて、すでに機体の再建を決めています。私は、ムリーヤの遺産が引き継がれ 、国際社会がウクライナがこの飛行場を再建するだけでなく、ウクライナの航空宇宙産業を再生させるための方法を見つけることを願っています」

 

視察に同行した与党議員のダヴィド・アラハミア氏によると、ブランソンさんは「できる限り助けたいという意欲を表明した」という。

 

■ムリーヤとは?ソ連版スペースシャトルの輸送用に開発。東日本大震災の復興支援で来日したことも

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ロシア軍に破壊される前のムリーヤ。2020年4月23日撮影
Gleb Garanich via Reuters

ムリーヤは旧ソ連時代に、ウクライナに拠点を置くアントノフ設計局(現在のアントノフ社)が開発した巨大輸送機「An-225」の愛称だ。ソ連版のスペースシャトルとして知られる「ブラン」を輸送するために2機が作られたが、完成したのは1機のみだ。1988年に初飛行した。

その巨大さを生かしてアントノフ航空が貨物機として運用しており、ウクライナ語で「夢・希望」を意味するムリーヤという愛称が付けられている

アントノフ航空の公式サイトによるとムリーヤの全長は84メートル。「ジャンボジェット」として有名なボーイング747は70メートルなので大きく凌いでいる。

2000年から2001年にかけての機体改修の結果、最大離陸重量は640トンとギネス世界記録だ。スペック上は貨物を250トンまで搭載できるという。

東日本大震災の直後にはフランス政府がチャーター。2011年3月25日に原発事故対策の装置や人道支援物資など計150トンを乗せて成田空港まで飛来していた

2022年2月27日、ホストメル近郊のロシア軍の侵攻を受けてムリーヤは破壊された。アントノフ社は機体を再建するための国際基金をスタートしたことをFacebookで発表していた