自分の街のこと知っています?-地域経済分析システムRESASで地元のデータを見てみよう:研究員の眼

地域経済分析システムは、各地方自治体が行う「地方版総合戦略」の立案や検証を支援するために公開されたものだが、個人にも意義のあるシステムだと思われる。
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週末のテレビ番組で、福島市立岳陽中学校イノベーション部の生徒が「地方創生☆政策アイデアコンテスト2015」の高校生以下の部で大臣賞(最優秀賞)を受賞した、というニュースが目にとまった。

このニュースで驚いたのは、高校生以下の部で中学生が1位になったことと、政府が「地域経済分析システム(RESAS(リーサス))」(*1)を公開していたことだった。

筆者は、それまでこのシステムの存在を知らなかったが、数時間利用してみて、その利点と意義を次のように感じた。

利点の1つめは、データ利用の窓口になることである。現在は様々な統計をインターネット経由で利用できる時代だが、自分が知りたい情報がどの統計に載っているかは分かりづらい。

また、状況や統計の全体像を知らないまま、いきなり細かいデータを見てしまう危険もある。このシステムに載っているデータは限定的だが、知りたいデータにたどり着く手がかりとして有用だろう。

利点の2つめは、データの見方を勉強できる点である。データを見る際には独自の視点も重要だが、基本的な見方を押さえておくことも重要である。

例えば「人口マップ」のメニューでは、人口増減を自然増減(出生や死亡による増減)と社会増減(転入出による増減)に分解した図を見ることができる(図表1)。

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利点の3つめは、普段は目にしないデータやデータの見方に触れられる点である。

例えば「観光マップ」のメニューでは、ある都道府県や市区町村に2時間以上滞在した人がどの都道府県や市区町村から来たか、などの民間企業から提供されたデータを花火図で見ることができる(図表2)。

また、「産業マップ」のメニューでは、産業別の雇用者割合と各産業の平均賃金という既存のデータを、形状や面積で視覚的に分かりやすく見ることができる(図表3)。

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そもそもこのシステムは、各地方自治体が行う「地方版総合戦略」の立案や検証を支援するために公開されたものだが、個人にも意義のあるシステムだと思われる。

いわゆる「三位一体の改革」で国から地方へ税源が移譲されてから約10年。給与明細を見て、住民税の多さに驚くこともある。また最近は、いわゆる「ふるさと納税」(自治体への寄付)も盛んになっている。

自治体については、広報誌で財政状況などを知る機会はあっても、産業構造などを知る機会は少ないと感じる。

このシステムを使って、現在住んでいる町や"ふるさと"の状況を確認してはどうだろうか。それが、地方創生の底上げにも繋がるだろう。

(*1) https://resas.go.jp/ から利用可能。ただし、利用できるブラウザがGoogle Chromeに限定されているので、要注意。

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(2015年12月22日「研究員の眼」より転載)

株式会社ニッセイ基礎研究所

保険研究部 主任研究員