震度7を2度にわたって記録するなど、4月14日の一連の熊本地震で最も揺れの激しかった熊本県益城町。
地震発生から1週間が過ぎて訪れてみると、町はまだ、発生直後の状態から先に進めていなかった。
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中心部を歩いてみると、町役場は、渡り廊下にひびが入り、体育館は窓ガラスが割れたまま立ち入りが禁止されていた。至る所で倒れた電柱や、倒壊した建物が目につく。西日本新聞によれば、17日に町が実施した応急危険度調査で、62.6%にあたる209件の建物が「危険」と判定されたという。
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2階部分が落ちている店舗や住宅は、一部で解体作業が始まってはいるが、大半はなすすべもなく放置されている。「余震が続いており、倒壊した建物の撤去などにも危険が伴う」(支援関係者)という事情もあるのかもしれない。
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なすすべがないのは人も一緒だ。吉本洋子さん(63)は営んでいる理美容店が全壊、自宅も半壊して3世代一家7人が避難所暮らしだ。役場前の広場で炊き出しのカレーを食べながら「家も職も失った。今は横になれるだけで、雨風しのげるだけでありがたい。ここで知り合いと顔を合わせるだけでも、気持ちはずいぶん違う」と、精いっぱいの笑顔を見せた。
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家が無事でも、生活再建の見通しは立たない。30代の女性は自宅は無事だったが、余震を警戒して家族と車中泊を続ける。中学3年の娘が通う中学校は地震で閉鎖され、再開のめどは立たない。「今年受験なのに。5月の体育祭を娘も楽しみにしていたのに。どうすればいいの」と途方に暮れる。
回数が減ったとはいえ、余震が収まらない熊本。「再建」に踏み出せるのは、まだまだ先のようだ。
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