7月27日、緊急役員会が開かれるというので出席してみると、冒頭、蓮舫さんが代表を辞任することを表明、私にとっては「寝耳に水」のことでした。
というのも、その二日前、都議選総括の両院議員総会の場で、野田幹事長がその責任をとって辞任する代わりに、蓮舫代表は自身の続投と執行部刷新のための人事着手を表明していたからです。
その後の会見で蓮舫代表は「昨日1日どうすれば遠心力を求心力に変えることができるのか熟考させていただいた。その時に考えたのは人事ではなく、自分自身をもう一度見つめなおさなければいけないと思った」
「攻めの部分ではしっかりと行政監視をしてきた。ただ一方で、受けの部分に私は力を十分に出せなかった」
「一旦引いて、より強い受け皿になる民進党を新たな執行部に率いてもらう」
「民進党のためでも私のためでもない。国家の民主主義のために、選択肢として2大政党制の民進党を作り直すことが国民のためになる」と辞任する理由を述べたのです。
私としては、一旦続投を表明した後の突然の辞任表明に違和感をもったものの、「綸言汗のごとし」、政治家の出処進退は自らが決すべきものなので最終的には了承しました。
そして、代表代行として代表を支えきれなかった力不足をお詫びするしかありませんでした。
この辞任の背景には、加計問題等で安倍内閣支持率が急落しているのにもかかわらず、民進党の支持率は上がるどころか下がる。
政権交代可能な二大政党の一方の雄を占めるという結党の目標とは程遠い現状があったことは言うまでもありません。
しかし、それは一人蓮舫代表だけに責めを帰すべきものでもありません。
民進党が政権与党・自民党に代わる受け皿足り得ていないのは、昨年、民進党という新党を結成したにもかかわらず、旧民主党政権の負のイメージから脱却するどころか、「民進党は旧民主党と変わらない」と国民が思っているからです。
それほど、あの民主党政権時の体たらくが国民の脳裏に焼き付いているということです。
ですから、民進党浮上の処方箋はただ一つ。
政策で安倍自民党との違いを鮮明に出す、「バラバラ」と言われてきた党のガバナンスを確立することも大事ですが、何よりも旧民主党時代からの体制・人事を一新し、「民進党は改革政党として生まれ変わった」と国民に振り向いてもらうことが必要なのです。
その意味では、代表選も旧民主党時代の「顔」だけでなく、清新な若手や旧民主ではない人間が立候補し、大いに政党の理念や立ち位置、政策の論争をしていかなければなりません。
それほどの危機意識がこの党にあるのかどうか?それが問われる、この党の存亡をかけた代表選が8月21日からスタートします。
(2017年8月5日「今週の直言」より転載)