「2020年に憲法改正の施行を目指す」と表明している安倍首相は5月9日、2020年を選んだ理由を「東京オリンピック・パラリンピックも予定されている年」と参院予算委員会で説明した。民進党の蓮舫代表の質問に答えた。蓮舫代表は「オリンピックと憲法改正は関係ありません」と切り捨てていた。
5月9日の参院予算委員会での安倍首相(左)と蓮舫代表
■安倍首相「読売新聞を熟読してほしい」
読売新聞が5月3日朝刊で、安倍首相の独占インタビューを掲載した。ここで安倍首相は、憲法改正の期限を「2020年施行」と区切り、9条改正に取り組むべきだとの考えを披露していた。
8日の衆院予算委員会で民進党の長妻昭氏から、憲法改正への見解を問われた安倍首相は「読売新聞を熟読してほしい」という趣旨の回答をした。
「私はここは内閣総理大臣として立っておりですね。自民党総裁としての考え方はですね、相当詳しく読売新聞に書いてありますから、ぜひそれを熟読していただいてもいいんだろうと」
■蓮舫代表「あまりにも二枚舌だ」
9日の参院予算委員会で民進党の蓮舫代表は「立法府軽視であり到底容認できない」として、「国会で説明する責任を放棄しているが撤回しないのか」と質問した。しかし、安倍首相は「自民党総裁として一政党としての考えを披歴(ひれき)するべきではない」として撤回に応じなかった。
これに対して蓮舫代表は「総理総裁は同一人格であり、考えは同じ。読売新聞では改憲の思いを気持ちよく話せて、国会では話さない。国会を何だと思っているんでしょうか?」と追及した。安倍首相は「今この場には総理として立ち、答弁する義務を負っている」として、前日と同様の答弁を繰り返した。
これに対して蓮舫氏は「政府与党が一体の議院内閣制で、総理総裁を使い分けるというのはあまりにも私は二枚舌だと思う。自民党総裁として語ったというなら、なぜ取材を総理官邸で行ったのか?」と質問した。
安倍首相は「それは総理大臣として日々対応しなきゃいけないところが起こるわけですから……」からと言葉を濁した。その上で、「蓮舫委員には外形的なところではなく、中身について党の案を憲法審査会に出していただいて、そこで議論いただきたい」と話題を変え、民進党も憲法改正の議論に参加するように呼びかけたが、委員会室は野党のヤジで騒然となった。
なお、読売新聞の記事には「安倍首相インタビュー」として、首相の肩書きが見出しに取られていた。
■安倍首相、2020年を選んだ理由を問われると…
その後、蓮舫代表から憲法改正を2020年施行を目指すとした理由について問われ、安倍首相は「東京オリンピック・パラリンピックも予定されている年であります。まさに新しい日本を始めようという機運がみなぎっている中において、一つの目標として掲げている」と述べた。