委員会での質問づくりに追われる今週来週ですが、
予算特別委員会で「ムスリム来日者対応」について質問するよーと書いたところ、
国際カジノ研究所の木曽さんからこんなご意見をいただきました。
ブログも書かれていました↓
観光業界のムスリム対応について
以前の記事で私も触れたように、
日本は歴史的経緯からイスラム教・ムスリムとの関わりが乏しく、
礼拝所や食生活などの文化的な生活を営むためのインフラが著しく遅れています。
(写真はハラール料理)
五輪に向けた「おもてなし」を行うためには、
彼らのための環境整備があらゆる面で課題になってくるわけですが
特定宗教にだけ行政が予算・政策を講じることは、政教分離や公平性の観点から問題が生じるのですね。
「政教分離」の原則の中で、ムスリム観光誘致をどこまでサポートできるか問題
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木曽さんが指摘される通り、
前提についてのコンセンサスが取れなければ、行政は「啓蒙活動」を超える政策は打ち出せません。
東京都も今年度、計上している予算は二千万円程度。
これでは五輪開催中に殺到するムスリム観光客対して
2020年までに受け入れ体制が整うことは、極めて難しいと言えるでしょう。
そして実はこちら、国政マターとして官僚レベルでは
議論がされているとのことですが、案の定まったく進んでいないようです。
そりゃそうですよね。
これって、行政レベルで結論を出せることじゃないんです。
これはどこまで議論しても、最後は政治的な決断にかかっているのではないでしょうか。
民間への予算投資も一緒で、
「なぜその産業に投資をするのか・補助金を出すのか」
というのは常に公平性の観点から疑義が示されます。
極端に言えば、「農業にお金を出すのはおかしい!」と考える方だっているわけです。
様々な合理的な説明理由は必要になりますが、
こうした最後の「線引」は、最終的には政治でしか決めることはできないのです。
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以上を前提とした上で、現時点で私なりの結論としては
「ムスリム対応には、ある程度の投資を行っても良いのでは?」
と考えています。
理由は以下の通りです。
・イスラム教は、所謂我々がイメージする「宗教」を超えて、生活慣習となっている大衆宗教であること
・そしてそれは全世界の人口の4分の1とも言われる、圧倒的なボリュームを誇り浸透していること
・にもかかわらず、歴史的背景から著しく環境整備が遅れており、ここから挽回は自力では難しいこと
確かに一つの宗教だけを優遇することには価値判断が分かれますし、
すべての宗教・慣習にたいして一斉・一律に対応するべきだ!という方もいらっしゃると思います。
こうした議論になるとき、
いつも私の頭によぎるのは、中国近代史におけるこのエピソードです。
かつての中国共産党内で、共産主義に市場原理を持ち込むかどうかが議論されていた時のこと。
「すべての人間が平等になれる共産主義を貫くべきだ!」と主張する他の幹部に対して、
時の指導者・鄧小平はこう言って、市場原理の導入を決断したそうです。
「(豊かに)なれるやつからなればいい!」
賛否はあると思いますが、この鄧小平の考えが、今の中国の急発展の始まりとなりました。
私はどちらかというと、この考えを支持します。
一斉・一律にすべての宗教・信念に対応することは不可能な現状では、
「やれることろから、やればいい!」です。そしてその優先順位として、
イスラム教・ムスリムが選択されることは合理的だと思います。
イスラムからスタートし、ユダヤ教やゾロアスター教、もっとマイナーな宗教まで
理解と普及啓発が進んでいく...そんな筋道が作れればベストではないでしょうか。
とはいえ、宗教の係る決断は本当にセンシティブですから、
どんな政治家でも明言はしたくないものですよね...(私も書きながらヒヤヒヤしています)。
皆さんは、特定宗教への対応整備について、どのように思われますか?
ぜひ様々な声をお寄せください。
それでは、また明日。
(2015年3月6日「おときた駿公式ブログ」より転載)