どうも、wasabi(wasabi_nomadik)です。
以前アップした記事、“翌日から即行動!ドイツ人女性が「個人で始めた難民支援」が大きな輪になるまで”にも書きましたがドイツ、ひいてはベルリンには個人レベルから難民に対する支援や自分のできることを考えている人がとても多い印象を受けています。
先日、私のブログでもインタビューさせていただいたことのある翻訳家のチカさんのFacebookのタイムラインで、「16日に難民の就労支援やこれからを考えるミートアップ」があるという情報を提供いただいて、私も興味を持ったので一緒に行ってきました。
会場は、ベルリン、アドラーズホフ(Adlershof)にあるサイエンス・テクノロジーパーク(Wissenschafts und Technologiepark)です。ここアドラーズホフには6つの研究機関がある他、1,000以上の企業、6万人以上の被雇用者がいるそうです。フンボルト大学のキャンパスもあり、学生数も約7,000人を誇るこの街で、こうした自分たちの持っているリソースを生かして何か難民に対して提供できるものはないかと考える事が、今回のイベント趣旨でした。
プレゼンの様子
イベントでは、企業による難民に対してできる取り組みや、難民がドイツに来た後どのような流れでビザを申請したり、職を得る事ができるのかについて話されました。ヨーロッパで一番規模が大きいというホテルグループ、ESTRELは難民と職業をマッチングするオンラインプラットフォームを近日中にリリースするそうです。
学生によるプレゼン
企業だけでなく、学生によるプレゼンもありました。彼女は学生で企画している難民とのアクティビティー企画やドイツ語のレッスンを提供する様々なプロジェクトで指揮をとっているそうです。
プレゼンの後は質疑応答も。
このイベントで印象的だったのは、企業も、学生も難民も皆が何かしらの繋がりや、何か行動を起こそうという思いで集まって来ていたことです。すごくかっちりしたカンファレンスに見えるかもしれませんが、そこには「みんなで情報交換してアイデアを出し合おう」という非常にオープンな空気が強くありました。
印象的なスピーチをしてくれた方。
今回のイベントで最も心を動かされたのは、シリアから来た彼のスピーチ。
シリアから来た難民として、ドイツという外国に住む事はどういう気持ちなのか、なぜ難民はドイツにやって来るのかについて彼が綴った詩を読んでくれました。
とても力強いメッセージが込められていたし、何よりドイツに住む難民として自分たちのことを理解してもらおうという前向きな姿勢にすごく感動しました。
彼の詩は録音がありますが本当に素晴らしいので、紹介する場合は後日じっくり、間違いがないように別記事で書きたいと思います。
普通なら、私がインタビューした友人のように何もする気が起きなくなってしまってもおかしくないと思うんです。
シリアで散々な目に遭って仕方がなくドイツにやってきているはずなのにここでの生活を新たに頑張ろうと思うに至る精神力の強さは、人間の持っている生命力のようなものさえ感じさせてくれます。
プレゼン終了後は、ネットワーキングタイムということで難民の方々との交流や企業、研究者の方たちとお話する機会が設けられました。私はアフガニスタンからやって来た女の子達と話しましたが、徒歩で何カ国も渡り歩き無事ここまでやってきた話など想像を絶します。
ちなみに今回来ていた難民の方々は、多くの方々が英語を流暢に喋っていました。自分の国で教育を受け、会計士や秘書の資格を持っている人などもいて、みなさん口々に言うのは「とにかくドイツ語を学びたい」ということでした。たしかに、向上心がある人達にとってドイツ語が壁となって思うように働けないのは苦痛です。
このイベントでは、何かを求めてやってきている人が多かったので本当に何かが起きそうな予感がしています。私も、なんとなく難民の人をうちに招いて、「日本食とシリアの料理を交換するクッキングイベントがしたいな〜」なんて思っていたのですがそれを、難民支援している学生の女の子に言ってみたら「是非やろう!うちの設備を使っていいよ!」と話がトントン拍子で進みました!
しかも、その場に来ていた企業の方が更に大きなキッチンを持っているとのことで繋いでくれて、そちらを使っても良いということに・・・!こんなにも話が早いのかと、かなりビックリしました。
こんな風にミートアップに来ることで実際に人と知り合い、なんとなく自分が考えた小規模なアイデアが大きくなりそうな予感がする、私にとっても収穫の多いイベントとなりました。今後彼らと連絡をとって一緒に何かできたらすごく嬉しいです。
ベルリンには、シリアからだけでなく日々様々な紛争地帯から命からがら逃げて来た難民が押し寄せています。
急激な難民の増加や、対応しきれていない行政の問題、世論的な不安の声などドイツには抱えている問題が様々あるのも事実です。でも、こうして自分たちで問題を解決しよう、何かアクションを起こそうとするドイツ人の姿勢、そして心をオープンに社会と関わろうとする難民の方々の姿に私はドイツの明るい未来を見ています。
次回は2月29日に別の会場で、難民と企業をマッチングするジョブフェアが行われます。
興味のある方はこちらも覗いてみてはいかがでしょうか?
(12月18日「WSBI」より転載)