寝る前にスマートフォンやタブレットを見ると睡眠を乱す可能性があるとは聞いたことがあるだろう。しかし、新しい研究では問題はさらに深刻のようだ。
アメリカ・マサチューセッツ州ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の新しい研究によると、寝る前にスマホやタブレットを見ると寝付きを悪くするだけでなく、翌日の眠気と警戒心に影響を与えるという。12月22日、アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)の機関誌に発表された研究によると、この研究結果は寝る前に電子書籍リーダー、ノートパソコン、スマートフォン、あるいはテレビを見ている人からすると衝撃的かもしれない。
今回の新しい研究は、寝る前に画面を見たら有害だとする過去のさまざまな研究結果を裏付けるものだ。
「夜に見る画面からの光が眠気と警戒心を変化させ、睡眠の調節を助けるメラトニンの値を抑制することは過去の研究から分かっています」と、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の概日リズム睡眠障害(1日の中で望ましい時間帯に睡眠をとることができず、身体・精神症状を引き起こす睡眠障害)部門の神経科学准教授で、この研究の共著者であるアン・マリー・チャン博士はハフポストUS版の取材で指摘した。「今回の研究は、発光機器を使用した読書と紙媒体での読書を直接的に比較した総合的な結果と、睡眠に与える影響を示しています」
日中にゾンビみたいな気分になりたくないなら、この研究結果ははっきりとしている。寝る前に心を刺激したいなら、紙の本を読むことだ。そうしないと命に関わることになると思うくらい真剣に電子機器の画面を避けることだ。
そう、実際に命に関わるかもしれない。チャン博士によると、睡眠不足(十分な睡眠を取っていない、または、睡眠の質が悪い)は、肥満、糖尿病、心血管疾患などの他の健康問題につながる。チャン博士は「メラトニンの長期的抑制は特定のがんのリスク増加にも関連する」と述べている。
言うまでもないことだが、睡眠には恩恵があるので、睡眠時間を削ること自体良い考えではない。
この研究は2週間実施された。12人の被験者が、5日間連続で就寝前にiPadで4時間の読書をし、同じことを紙媒体でも繰り返した。一部の被験者は順番を逆にし、まず最初に紙媒体で読書をし、次にiPadを使った。
iPadで読書をした被験者は夜間に眠りに落ちるまでにより時間がかかり、紙媒体で読書をした被験者よりもレム睡眠(眠りは深いが脳波は覚醒時のような型を示す状態)時間が短かった。また、iPadで読書をした被験者は、メラトニンの分泌が少なかった。そして、両者共に8時間の睡眠を取った場合でも、紙媒体で読書した人よりも翌日の疲れが大きかった。
実際の生活に及ぼす影響は、科学者が研究過程で観察したよりもひどいかもしれない。チャン博士がハフポストUS版に対し、「iPadユーザーの方が警戒心が強いことが分かりましたから、就寝前に画面を見る人は、今回の研究の被験者が許可された時間よりも遅くまで起きているかもしれませんし、睡眠の質はさらに悪化しているかもしれません」と述べた
何らかの理由で就寝前にタブレット、携帯、コンピュータを使用する必要がどうしてもある場合は、安全性を高められる方法がある。青色の光をブロックするフィルターを試してみることだ。Androidにはこの効果をもたらすアプリがあるが、iOSのデバイスの場合はフィルターを購入する必要がある。コンピュータを使用している場合は、F.luxを試してみよう。青色光が警戒心を高め、メラトニンを抑制し、その結果として睡眠の質を落としていることが研究で示されている。
「一番良いアドバイスは(一番好まれるものではありませんが)、就寝前に発光スクリーンの使用を避けることです」とチャン博士はハフポストUS版に述べた。「夜間にコンピュータやその他の発光機器を使用しなければならない人は、青色光をカットするソフトウェアや何らかの技術が役立つかもしれません」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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