若いころに排卵がなくなってしまった女性の凍結卵巣を活性化する新しい治療法を使って赤ちゃんが出産した。この治療法は、早発閉経の女性に出産の希望をもたらすものになるかもしれない。
時事ドットコムは、次のように伝えている。
若いうちに月経がなくなり妊娠が難しくなる早発閉経の女性の、卵子のもととなる「原始卵胞」を人工的に活性化させて妊娠、出産させることに世界で初めて成功したと、聖マリアンナ医大の石塚文平特任教授らのチームが1日発表した。
(時事ドットコム 2013/10/02 「早発閉経女性が出産=卵子活性化で世界初-聖マリアンナ医大」)
この技術は、アメリカと日本の医者によって開発された。卵巣(あるいは卵巣の一部)を取り出し、卵管近くに再び移植するもの。
女性はホルモンを補充する治療を受け、卵子の元となる原始卵胞と呼ばれる卵巣内の特殊構造の成長を促す。
川崎市にある聖マリアンナ医科大学の臨床医は、原発性卵巣不全と呼ばれる症状を抱える5人の女性から受精可能な卵子を採取。そのうち一人の女性が健康な赤ちゃんを出産、もう一人も妊娠したという。
日本の女性27人が今回の実験研究に参加した。研究者はそのうちの5人から体外受精のために成熟した卵子を採取することができた。
しかし、早発閉経以外の原因による不妊の女性に対する実験はまだ行われていない。研究者は、がんの化学療法や放射線治療が原因で早発閉経になった女性、そして40歳から45歳までの年齢で不妊に悩む女性にもこの技術が応用できるかとうか実験を行う予定だという。
「原発性卵巣不全の女性は40歳になる前のかなり早い時期に閉経になることがある」とスタンフォード大学産婦人科教授で不妊研究の上席著者であるアーロン・シュー氏は述べている。
「これまでの研究で、こうした女性は非常に小さな原始卵胞や二次卵胞を持っており、月経周期がなくなってしまったとしても治療は可能かもしれないと考えられていた。日本の共同医療研究者とともに得られた今回の結果は、早発閉経患者の妊娠・出産の手助けとなる希望をもたらしてくれるものになる」と述べた。
こうした不妊解消が期待できるという見方がある一方で、専門家の中には、あまり期待しすぎない方がいいという意見もある。
「今回の研究結果は興味深いが、この段階ではエキサイティングな科学の進歩、としか言えない。これが有効な治療の選択肢として考える前に、プロスペクティブ(有望)な無作為研究が必要だ」と、クリエイト・ヘルス不妊クリニックの院長で、ロンドン大学セント・ジョージ病院の生殖医療主任コンサルタントのジータ・ナルグンド教授は、ハフィントンポストUK版ライフスタイル編集部にコメントを寄せた。
「重要なのは、我々は研究結果を注意深く見ること、そして大げさなことを言わず、希望を失った女性たちに期待を抱かせるような真似はしないことだ」
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