レイプされ、殺された娘の家族は「性体験の過去」の暴露を防ぐ闘いを続ける

「リッジさんのためにも、この裁判を戦うことは重要です」
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アメリカ・ニューハンプシャー州で2012年にレイプされ、殺害されたニューハンプシャー大学の学生リッジ・マリオットさん(当時19)の両親が、ニューハンプシャー州最高裁に、娘の「性体験の過去」の記録の詳細が公表されないよう求め、争っている。これは、性暴力被害者の権利に影響を及ぼす事件といえる。

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殺害されたリッジ・マリオットさん

マリオットさんを殺害したセタ・マザグリア被告(32)は、2014年に有罪判決を受けている。ニューハンプシャー最高裁は9月に、マザグリア被告側が控訴審で、マリオットさんの性体験の過去の詳細を証拠として公開使用する権利の有無を決定する。裁判では、ニューハンプシャー州の「強姦被害者保護法」に基づき、証拠として採用しなかった。この法律は、レイプ事件告訴人の以前の性的体験を証拠として利用する被告の権利を制限している。しかし最高裁は、強姦被害者保護法とプライバシー保護はこの控訴手続に適用しないと決定するかもしれない。

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セタ・マザグリア被告

「刑事被告人が控訴を決定したので、証拠になると主張されるリッジさんの過去の性的な経歴が全て争点となり、世界中に公表される恐れがあります」と、マリオットさんの両親の代理弁護人ルス・リリー氏はハフポストUS版に答えた。「これは、この獣のような強姦殺人の有罪判決後、やっと傷が癒え気持ちを切り替え始めていた家族に深い精神的に大きな傷を与えました」

2014年の裁判で、マザグリア被告は、被告のアパートでマリオットさんをロープで絞殺し、死体をレイプした後、川に死体を遺棄した罪で有罪判決を受けた。被告の弁護士は、マリオットさんは「強制を伴う合意の上の性行為中に、偶発的に死亡した」と主張した。しかし、この殺害を目撃したマザグリア被告の当時の交際相手は、被告は、マリオットさんが性的な勧誘を拒否したので腹を立て絞め殺したと証言した。被告は、彼女が自ら危険な性行為に加わる意志があった証拠として、マリオットさんの詳細な性的経験の記録を申請した。しかし、裁判所はそれらの記録を認めず非公開にし、マザグリア被告に執行猶予なしの終身刑判決を下した。

マザグリア被告は2016年1月控訴した。被告側はマリオットさんの「性体験の過去が証拠として認められるべきであり、公正な裁判を受けることができなかった」と主張している。州検事とマリオットさんの家族の弁護士は、9月に最高裁が判断する前にマザグリア被告の公選弁護人に対し反論を行う。控訴審では、マザグリア被告の「事前に合意のあった性行為だったとする主張」を直ちに公開し、証拠として使用するかどうか判断する。

「この控訴手続は、もし非公開であれば公正ではありません」と、マザグリア被告の控訴公選弁護人クリストファー・ジョンソン氏は述べた。「一般的に、この国では非公開控訴を行うことはありません」

州最高裁に対するジョンソン弁護士の趣意説明は以下の通り。

訴訟の非公開および口頭弁論の封鎖は、本事例の特殊な状況下において、提出した証拠を除外する第一審裁判は間違っていると主張するマザグリア被告の論拠の正確な内容を公的に無視することになる。この控訴に適用される強姦被害者保護に関する一般的公知に基づき、マザグリア被告が、マリオット氏の他の性的関係、興味および経験についての一定の証拠は認められるべきであったと主張したことは周知されている。しかし、証拠が何であったか、それが認められるべきであると被告が考える理由、それに対し州が主張した内容、すなわち裁判所がそれを除外した理由について明らかになっていない。

政府の透明性に対する市民の権利と訴訟手続は、性暴力被害者の性体験の記録について、証明されていない主張の公開には適用されないと、リリー弁護士は主張する。

「リッジさんは、死亡してもなおプライバシーに対する憲法上の権利があり、出訴する一般市民の権利がそれを上回ることはありません」と述べた。「犯罪を報告した時被告が控訴し、性体験の過去が公的に明らかになることを、犯罪被害者、特に今回のような性的暴行の被害者が知った場合、全国的にそれがどのような影響を与えるか想像することはできるでしょう。被害者に対する萎縮効果が現れるはずです」

ニューハンプシャー州の判決が、アメリカ全土で性暴力被害者を保護する法律に対し広範な影響を与えることになると、リリー弁護士は述べた。各州には何らかの形でそうした法律があるからだ。「アメリカ中の被告弁護人が、裁判において、なぜ強姦被害者保護法が公判中のみ適用されるのかを説明する際の判例として、これを利用することになるでしょう」

市民団体「家庭内暴力と性暴力に反対するニューハンプシャー連合」は22日、アメリカ全土の犯罪被害者の権利団体と共に、マリオットさんの両親の訴訟を支援する声明文を出した。その中で最近行われた大学生2万3000人に対する全国調査を取り上げている。レイプ被害の報告をためらう主な理由として、秘密漏洩とその事件に対し責任を問われることへ懸念があると大学生らは回答している。

「性暴力被害者のプライバシーの保護は、インターネットやSNSの存在とともに、より一層重要になっています」とその声明文では述べている。「裁判所で裁判記録を本人自ら入手する従来のやり方と、Googleや電子的なファイリングシステムへのアクセスとは大きな違いがあります」

マリオットさんの性体験の過去に関する記録をめぐりマザグリア被告側と法廷で争うのは、マリオットさんの両親にとって「全くもって不愉快な」ことだったが、娘の思い出のためにできる限り最善を尽くしていると、リリー弁護士は述べた。

「リッジさんのためにも、この裁判を戦うことは重要です」と述べた。「彼女のプライバシーは、この野蛮な犯罪者がレイプし殺害しても、彼女から奪うことができなかった唯一の権利です。これだけが彼女に残されているのです」

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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