サッカー・ワールドカップ関連でTBSが放送した討論番組の中で、代表監督の国籍について質問した番組に対する、元日本代表のラモス瑠偉さんの発言に「正論」などと注目が集まっている。
ラモスさんが出演していた番組は7月1日深夜、決勝トーナメントのスペイン対ロシア戦の後で放送された、人気サッカー解説者らが討論する企画。この日最初のテーマは、「日本代表の監督は、今後日本人にすべきか、外国人にすべきか?」という内容だった。
討論の前提として番組側は「過去、自国開催の日韓大会を除けば、決勝トーナメントに進んだのは日本人監督だけ」と説明。日本人の方がふさわしいのではと印象づけた上で、解説者たちに「日本代表の監督は、日本人がいい?それとも外国人がいい?」との質問を投げかけた。
この質問に対して、ラモスさんは回答しなかった。理由を問われると、ラモスさんは苦々しい顔で「監督になるのに国籍は関係ないでしょ。別に外人か日本人かなんて」と一蹴した。
「日本人のサッカー、選手のことをよく知って、良さを引き出す監督が必要。日本人であろうが外国人であろうが」と話した。
回答を受けて、司会の加藤浩次さんは「例えば日本人監督だと言葉が通じやすいとかコミュニケーションが取りやすいとか、日本人の気質をよくわかっているとか(といった面もあるのでは)」と質問。
しかし、ラモスさんは続いて「でもそれはすべての監督じゃないでしょ。選手の持っているものをよく引き出せるとかさ。それだけじゃないでしょ。私は嫌だ」と応じていた。
この発言に対して、Twitter上では「正論」「納得した」「日本のこういうところが"遅れてる"」「質問が悪い」などの意見が集まっていた。
「国歌斉唱を一緒に歌えるぐらいの人じゃないと」(ペナルティのヒデさん)
一方で、他の解説者5人のうち4人が「日本人にするべきだ」としていた。
ペナルティのヒデさんは「国歌斉唱を一緒に歌えるぐらいの人じゃないと。一つ上に行きづらいんじゃないか。精神論になって申し訳ないですが」。元代表の中田浩二さんは「もういい指導者も出てきている。Jリーグで結果を出している監督もいる。そろそろ最初から(4年間)日本人を試して、託すのも一つだと思います」。
これに対してラモスさんは、オリヴェイラ氏(鹿島アントラーズでリーグ3連覇)、ネルシーニョ氏(柏レイソルをJ1初制覇に導く)といったJリーグのチームを率いる外国人監督の名前を挙げて「なぜチャンスを与えないのか、結果を出している。日本の中で」とも指摘していた。
ラモスさんはブラジル出身の元サッカー選手で元日本代表。1989年に日本国籍を取得している。Jリーグ設立を支えた立役者の1人で、開幕後はテレビCMに出演するなど大人気選手となった。2005年にはビーチサッカー日本代表の監督に就任、ワールドカップではベスト4に導いた。
その後、番組の討論では、元代表の前園真聖さんがワールドカップ直前でハリルホジッチ監督が解任され、戦術も急遽変更された可能性が高いことを指摘し「監督人事の前に日本のスタイルを確立すべき」と発言。「日本人か外国人か」という観点では語りきれない問題について、他の出演者たちも一様に頷いて同意していた。