アメリカ・ミズーリ州カンザスシティで、訪問先を間違えてチャイムを押した16歳のラルフ・ヤールさんが銃撃された事件で、同じ高校の生徒たちが4月18日、学校のキャンパスの周りを行進して、事件に抗議した。
地元テレビ局KSHBによると、行進には全生徒の大半にあたる1500人が参加。
生徒たちは「ラルフのための行進」「ラルフ・ヤールに正義を」と書かれたプラカードを掲げたほか「ラルフ、私たちはあなたを愛しています」と声を上げてヤールさんに連帯を示した。
参加者の一人マドックスさんは「苦しい状況に置かれている友人ラルフをサポートするために、参加しました」とKSHBに述べている。
間違って訪れチャイムを押した家で銃撃される
ヤールさんは4月13日夜、母親に頼まれて双子の弟を友人の家に迎えに行った際に、通りを間違えて別の家を訪れた。
そして、その家のドアベルを鳴らしたところ、住人の白人男性、アンドリュー・レスター容疑者容疑者に銃撃された。
ヤールさんは玄関のガラス越しに頭と腕を打たれて重傷を負ったものの、その場を逃れ、近所の人に助けを求めた。
その後病院で治療を受け一命を取り留めたが、母親は頭を打った銃弾が12時間も体内に残り、大怪我を負ったと述べた。
レスター容疑者は、発砲理由についてチャイムが鳴って外に知らない黒人男性がいるのに気づき「危険を感じて」と説明している。
しかしヤールさんの弁護士の一人であるリー・メリット氏は「聞き飽きた言葉だ」と述べた。
「私たちは、単に黒人であるということが、しばしばこの国で脅威と見なされてきたことを知っています」
「彼は『命の危険を感じた』と言いましたが、その相手は単にドアベルを鳴らした16歳の少年です。殺傷能力のある武器を、彼の主張する『脅威』に使うことに、明らかに正当性はありません。黒人であることは脅威ではありません」
母親は、ヤールさんは退院し体は回復しつつあるもののトラウマに苦しんでいると話した。