サウジアラビアの故アブドラ国王、エリザベス女王の無謀な運転に怯える

1月23日に死去した、サウジアラビアのアブドラ国王の人生や政治方針に関する逸話がメディアをにぎわせているが、中でもイギリスの女王エリザベス2世に会った際のエピソードは、思わず笑ってしまいそうになる。
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King Abdullah of Saudi Arabia, right, with Queen Elizabeth II, prior a state banquet at Buckingham Palace in London after the first day of the Saudi king's visit Tuesday Oct. 30, 2007. Britain's lavish welcome for Saudi Arabia's King Abdullah came under heavy criticism Tuesday from scathing newspaper editorials, protesters raising concerns over human rights abuses and an opposition party boycotting the visit. (AP Photo/John Stillwell, Pool)
ASSOCIATED PRESS

1月23日に死去した、サウジアラビアのアブドラ国王の人生や政治方針に関する逸話がメディアをにぎわせている。

その中でも、1998年にイギリスの女王エリザベス2世に会った際のエピソードは、思わず笑ってしまいそうになるものだ。当時72歳だったエリザベス女王は、第二次大戦中に身につけたハンドルさばきで、当時まだ皇太子だったアブドラ国王(当時73歳だったが、即位したのは2005年)を恐怖に陥れたらしい。

エリザベス女王は、父王であるジョージ6世が存命中で、彼女自身は18歳で王女だった1945年に、イギリス女子国防軍の車両整備士ならびに軍用トラックの運転手として訓練を受けた

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英国女子国防軍の救急車両の横に立つ、軍服姿のエリザベス王女(当時)。1945年4月撮影。

2003年に在サウジアラビア大使として赴任したイギリスの外交官シェラード・カウパー=コールズ卿は、回顧録『Ever the Diplomat: Confessions of a Foreign Office Mandarin』(どんな時でも外交官:外務官僚の告白)のなかで、エリザベス女王とアブドラ国王の双方から聞いた話だとして、以下のようなエピソードを紹介している

アブドラ国王は1998年に、イギリス王室の所有地であるスコットランドのバルモラル城を訪ねた。アブドラ国王は当時まだ皇太子だったが、ファハド前国王が病床にあったため、事実上実権を握っていた。

昼食が済むと、女王は、客人であるアブドラ皇太子に、領地内を見学してはどうかと尋ねたという。「アブドラ皇太子ははじめは乗り気でなかったが、礼儀正しいサウド外相に促されて、首を縦に振った」

「王室所有のランドローバーが城の正面玄関前に横付けされると、アブドラ皇太子は言われるままにランドローバーの助手席に、通訳は後部座席に乗り込んだ」

「すると、驚く皇太子をよそに、女王が運転席に乗り込み、エンジンをかけて出発した」と、カウパー=コールズ卿は続けている。「サウジアラビアではいまだに、女性の運転は禁じられている。アブドラ皇太子は、女性の運転する車に乗ることに慣れていなかった。ましてや女王が運転するなど、ありえないことだった」

そんな皇太子に、「スピード狂の女王」などもってのほかだったはずだ。カウパー=コールズ卿によれば、エリザベス女王はこのSUV車をただ運転しただけではない。領地内の道をものすごい音を立てて飛ばしつつ、お喋りまでして、アブドラ皇太子をますます不安にさせたという。

「皇太子は通訳を通して、スピードを落として目の前の道に意識を集中してほしいと女王に頼んだ」と同卿はつづっている。

ガーディアン」紙によれば、サウジアラビアは現在、世界で唯一、女性の運転を禁じている国だ。人権保護活動家らは長年にわたり、女性の運転を解禁するよう訴えている

アブドラ国王逝去の知らせを受けたイギリス王室は1月23日、チャールズ皇太子が「女王の代理」としてサウジアラビアを訪問する、と「インデペンデント」紙を通じて発表した。

90歳だったとされているアブドラ国王の逝去に伴い、88歳のエリザベス女王が「世界最高齢の君主」となった。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:遠藤康子/ガリレオ]

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