ロシアのプーチン大統領が16日、極東サハリン州を訪れた。4月の安倍晋三首相との日ロ首脳会談以降初の極東視察で、プーチン大統領は北方領土のインフラ整備を進める国家プロジェクト「クリル社会経済発展計画」を積極的に進めるよう指示。しかし、同州が事実上管轄している北方領土には訪問せず、日本への配慮もにじませた。朝日新聞デジタルが伝えた。
プーチン大統領は同日、極東地域一帯で行われている「ソ連崩壊後最大規模」(露有力紙)の軍事演習を視察した。産経新聞によると、演習は13日から20日まで、東部・中央の2つの軍管区が陸海空約16万人の兵士を動員して実施。プーチン氏自身がショイグ国防相に12日、「抜き打ち」の緊急訓練を命令していた。
州都ユジノサハリンスクで開かれた会議でプーチン大統領は、北方領土で港湾や道路、病院など公共事業を進める発展計画について「リズミカルに実行してほしい」と発言。各事業を期限内に完成させるよう命じた。また、2015年までの発展計画の延長も検討するよう提案したと朝日新聞デジタルは伝えている。
■「強い男」を印象づけるイメージ作戦も
プーチン大統領は前日の15日、北西部フィンランド湾の深さ約60メートルの海底に沈む帝政ロシアのフリゲート艦を約30分間、潜水艇に乗って視察した。「冒険する強い男」のイメージを国民に印象づける一連のイメージ作戦の一環とみられる。
産経新聞によると、同艦は1869年に他の船と衝突し沈没。近年、学術調査が進んでいる。プーチン大統領は記者団に「完全な保存状態だった。(船体に書かれた)船名もはっきり見えた。まるでタイムマシンで別の時代に行ったようだ」と話した。
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