ウクライナ問題に対する対ロシア制裁に日本も加わったことに関し、折からサンクトペテルブルクで開催されていた経済フォーラムの合間にプーチン大統領が記者団に対して「日本の行動に驚いている」と語ったうえで、まだ妥協は可能であり、話し合いを続ける意欲を持っていることをアピールしました。
ロシアは先週、中国との間で大型商談を次々に発表し「極東へのピボット」を印象付けました。
日本とロシアの間のビジネスは、盛んではありません。一例として日本の海外直接投資を見ると、対ロ投資は全体の0.46%に過ぎません。
地球温暖化現象の進行で北極海をLNG船が航行することが可能になり、しかも今回、中国との経済協力の一環としてロシアがウラジオストックにLNG基地を作ることが本決まりになったということは、ロシア産のLNGが極東にもどんどん出荷されるのが確実になったことを意味します。
もちろんロシアの主顧客は中国ですが、ロシアとしては中国だけではなく、より多くの国々とビジネスすることで極東における顧客の分散をはかりたいところです。
一方、日本としてもLNG輸入元の分散を図ることは競争を促し、売り手に足元を見られるリスクを減らす効果があります。
ロシアと中国が根強い相互不信を乗り越えて商談を進めているわけですから、日本もプラグマチックな対応をすべきかも知れません。
(2014年5月25日「Market Hack」より転載)