新潮社の月刊誌「新潮45」が10月号に掲載した特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」を巡って批判の声が上がっている中、これまで同社と仕事をしてきた作家や翻訳家らが、執筆・翻訳の取りやめの意志を相次いで表明している。
■翻訳者・藤井光さん
同志社大准教授で、現代アメリカ文学の翻訳を手がける藤井光さんは22日、同社と進めてきた翻訳の仕事について「いったん降りるという決断をしました」と表明した。
『新潮45』とその後の新潮社の声明に抗議して、新潮クレスト・ブックスで進めている翻訳の仕事について、いったん降りるという決断をしました。言葉がふるった暴力について、誠意ある対応がなされ、素晴らしい編集者と読者の輪に戻れるようになることを望みます。
— 藤井光/Hikaru Fujii (@fujiihikaru) 2018年9月22日
■小説家・近藤史恵さん
「サクリファイス」など、新潮社刊行の自転車ロードレース小説シリーズが人気の作家、近藤史恵さんも来年からの仕事を「お断りしてきました」と表明している。
■ボーイズラブ研究家の金田淳子さん
ボーイズラブ研究家の金田淳子さんも、不買および、原稿依頼を受けない考えを示した。
■小説家・深沢潮さん「対処いかんで刊行取りやめ」
小説家の深沢潮さんは9月22日、自身のFacebookで、「たいへん心を痛めておりますと同時に強い憤りを感じております」として、「もうしばらく見守り続けるつもりではおりますが、新潮社の対処いかんによっては、刊行を取りやめるつもりでいます」と現時点での意志を表明した。
深沢さんは、2012年「金江のおばさん」で、同社が主催する第11回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。これまで単行本2冊、文庫本1冊を同社から出しているという。
「11月に新刊を出すことが、私の書いてきたことと矛盾する行為になるのではないかと、たいへん悩んでいます」としつつも、「どうすれば良いのか、ずっと考え続けています。最終結論はまだですが、今現在の私の正直な思いをここにしたためました」と揺れる気持ちを綴っている。