ワーママでもPTAの役員ができるのか?と聞かれたら、私は「できます」と答えます。私自身、小学校で3年間、PTA本部役員をしていました。
そもそも本部が何をしているのかわからない、という方も多いかもしれません。そこで、働きながらPTA本部役員を経験した私より、リアルなアドバイスと失敗せず本部役員になる方法を伝授します。
そもそもPTA本部とは?
PTA役員で構成される組織は、「本部」「執行部」「総務」等学校によって呼び名が異なります(本記事では「本部」とします)。仕事内容も学校ごとに違いがありますが、主な業務は以下の通りです。
- 定例会合の開催、出席、議事録作成
- 行事(入学式や歓送迎会等)の準備、参列
- PTA総会の準備
- 運動会等のお手伝い
- 他の委員会活動のサポート
- PTAに関する書類作成、配布
- 地域自治会への協力
ざっと挙げただけですが、様々な仕事があることがおわかりいただけると思います。実は入学の時に貰うノートや連絡帳のセット、卒業時には証書入れや飾る花なども、PTAが準備しているのです。「学校がやってくれている」と思い込んでいるものの多くが、PTAによる仕切りと会費から捻出されています。
ワーママが本部をやるなら、ヒラ本部
PTA本部でも「長」がつく役職、つまり会長や副会長と、それ以外の職種を担ういわゆる「ヒラ本部員」に分かれます。男性会長のもと、女性副会長が実質的に回している本部が多いですね。ちなみに東京では女性会長率が高く、地方に行くほど男性会長率が高い傾向があります。
PTAには上部組織があるのはご存じでしょうか?全国組織のPTAがあり、個別の学校ごとにあるPTAは「単P」と呼ばれます。ヒラ役員は単Pしか関わりませんが、「長」がついてしまうと上部PTA会合へも参加します。
具体的には、
- 周辺地域小学校の入学式や周年行事に来賓として参加
- 講習会への参加
- 協議会への参加
- 地域自治会との会合(つまり飲み会)
うちの小学校では、誰がいい始めたのか、これらを「外交」と呼んでいました。会長・副会長職は、この外交が大変です。
ワーママとしては、本部をやるならまずは「ヒラ」を狙うのが無難といえます。
ヒラ本部の中でも特にワーママにオススメなのは......
本部の中にもいろいろな役職があります。中でも、「会計」「庶務・総務」「会計監査」はどの学校にもある役職だと思いますので、この3つに絞って仕事内容をお話します。
まず、「会計」はフルタイム勤務のワーママには難しいように思います。学校組織の通帳管理は銀行窓口で行うものがほとんどであるため、平日に銀行へ行く必要があります。入出金するお金を、必要な人物から貰う・渡す手間もあります。相手と都合を合わせるのは、働くママには大変です。例え数字に強くても、それだけを理由に安易に引き受けない方がいいかもしれません。
「庶務・総務」の仕事は、ワーママにオススメです。家でPCを使ってできる作業が多いし、理解のある人が本部にいれば会合に出席できなくてもデータをパソコンに送ってもらうことで業務をこなせます。ワーママは大抵ITスキルがありますが、苦手なママもおり、彼女たちから見ると膨大な量をこなしているとみなされやすいのもメリットです。平日の会合に欠席しても、仕事はしていると認識してもらえます。
また「会計監査」は出番も少なく楽と言われますが、これは外部に依頼したり、会計出身者を置いたりする場合が多いようです。
どの役職を請け負うにせよ、本部の定例会合を毎回休むというわけにもいきませんから、いずれにしても「平日に半休取って参加」はある程度覚悟しておく必要はあります。
フルタイムワーママで「PTA本部副会長」の例もあり
私の知り合いは某大手化粧品企業の管理職ですが、一昨年「PTA本部副会長」を引き受けました。
「え、フルタイムで残業ガンガンこなしてる彼女が副会長!?」と私も驚いたのですが、彼女は肩をすくめて「月に2回は平日昼間に会合があるとか、行事の前日準備は有給取って休まなくちゃならなかったとかって聞いたけど、副会長が日程を決めていると知ってそれなら自分のやりやすいように出来るはず、と決意したの」と言いました。
「2ポイント制度でひとりの子どもで2回委員をやらなくてはならないのよ。4年間も委員を引き受けられないでしょ。本部は1年任期でその後は委員免除なのよ。だったらいっそPTA本部から、働くお母さんも出来るっていうロールモデルになればいいかな、とも思って」
PTAを拒否するのではなく、自分なりの方法でこなす前向きな姿勢には共感も持てました。4年間を委員活動で費やすよりも、1年と割り切って、やり抜いてしまうのもひとつの方法です。女性部下が多い職場の経験のおかげなのか、10数人のママ達とうまくやっていました。
結局、有給を使ったのは5月の総会、副会長として列席する卒業式の2日間だけだったそうです。彼女のやり方を一部ご紹介すると......
- すべての会合を学校の土曜授業がある午前中に集中させる
- 外交は他の副会長とヒラ役員に「副会長代理」として順番に割り振り出席してもらう
- 行事の前日準備は午後3時頃からスタートさせる。自分は1〜2時間遅れて(会社では定時より2時間程度の早退制度を利用し)参加
しかし、これらは慣例を変えるのに抵抗感を示される場合も多いので、どこまで戦えるか、押し通せるかの胆力が必要とされます。
本部のベテランや先輩ママとの付き合い方
PTA本部というのは、二人目や三人目の子どもが小学生というベテランのママが中心になっていることが多いです。また幼稚園の父母会役員出身者や、地元育ちで情報通な人も必ずひとりやふたりいます。いわゆるボスママや学校の隅々まで承知しているようなベテラン先輩ママたち、中には面倒なタイプもいるでしょう。会合に出なかった人を糾弾したり、不必要に面倒にした仕事を押しつけたり、いない人の悪口を言っていたり、かと思えば別の場では言ってた人が俎板に上がる...... 「女子校のイジメかッ」とツッコミたくなる場面に遭遇することも、残念ながらあるかもしれません。
でも、それを「困ったものだ」と同じように思っているママも必ずいます。スタンスが似ている人と親しくなり、連携プレーで乗り切るのが一番です。
ママ友序列にこだわる人や、文句ばかり言うママに意見を言うだけ時間の無駄、逆にいらぬ反撃を貰うより「利用するもの」くらいに考えてサバサバお付き合いしましょう。
PTA本部をやるメリットはあります
改めて「ワーママ、フルタイム勤務で本部役員できるの?」という問いに、あなたならどう答えるでしょう。正直、避けられるものなら避けたい、が本音かもしれません。
しかし、「本部入り」となったからといって最悪の事態でもありません。徹底的にやるか、とりあえず「うまくこなしてしまう」かはあなた次第ですが、任期があるのでいずれ終わります。毎日学校に行くわけでもないですね。
本部を完了すると、その後の係や委員が一切免除されるPTAが多いですから、特に2人以上のお子さんがいるなら後がラクとも言えます。
また何かと先生と会う機会も多く、先生から「今日は二重跳びが出来るようになって喜んでましたよ」「社会の地図帳をなくしたのか、この頃持ってきてませんが」といった話が聞けるのは大きなメリットです。些細な事ですが、少しでも子どもの様子を聞かせてもらえたのはとても良かったですね。面談とは違って、もっと軽い立ち話なので、こちらから気になっていることも相談しやすかったです。
ベテランママからは、地域の公立中学の状況や塾の情報も教えてもらえて助かった部分も沢山あります。大変なのは事実ですが、本部をやるメリットもあると思います。
【ライター 大橋 礼】
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌! 本とお酒があればよし。
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