2014年、世界を最も揺るがした事件のひとつにエドワード・スノーデンによるNSAの諜報活動の暴露があげられます。それでもいまいち「ネット上の行動が全部つつぬけってホントか?」って思う人も多いと思うんで、あっちこっちから記事をひっぱってきました。
まずは実際にパソコン、スマフォを通じて諜報された事件です。
Blakeくんは、自宅で「不適切な行動」を取ったとして、教頭のLindy Matsko氏に罰せられた。その際、Matsko氏は、ノートパソコンに内蔵されているウェブカメラで撮影した写真に言及した。
NSAが直接絡んだ諜報活動ではありませんが、技術的にはこのような諜報活動が可能であり、公的機関である学校がこのように利用してしまったのです。PCのハッキングによる盗撮では実際にミスUSAティーンに起きています。
NSAが特定のSkypeユーザーの音声・ビデオ・テキスト・ファイル交換といったやりとりにリアルタイムで自由にアクセスできたことが明らかになりました。
こちらのGigazineの記事は今月の記事で、SkypeがNSAの監視プログラム「PRISM」の一環にあり、NSAの諜報活動をさらに裏付けることとなりました。
スノーデン氏によると、米国家安全保障局と英国政府通信本部(GCHQ)が共同で新技術を開発してきた。この技術で利用者が何も知らない情況の下、電源を切っても、マイクを通じて関係情報を盗聴することができるという。
これはあちこちで報道されました。スノーデンの暴露本でも書かれていますが、彼自身も携帯電話からの盗聴をさけるために、接触したジャーナリストに機器を持ち歩かないようにさせていました。
多くの携帯端末に搭載されているWi-Fi機能でホットスポットに接続した形跡をたどれば、より詳細な位置情報を得られます。ただし、これは世界中のホットスポットの位置情報が保存されている巨大なデータベースがあるから可能な方法です。さらに詳しい位置情報を得る際はGPS情報を基にします。GPS情報があれば対象の半径100メートル以内の特定が可能になる、とのこと。
併せて、位置情報もこのようにばっちしフォローされています。
諜報機関のあらゆるプログラムに関して、われわれが技術的詳細を知る必要もない。しかし、政府がどんな力を持っているのか・・・そしてそれがどうわれわれに影響を与え、どう海外との関係に影響を与るのか、大まかな概要は知る必要がある。なぜなら、もし知らなければ、もはや我々は市民ではなく、もはや我々にリーダーはいないからだ。
スノーデンへの遠隔インタビューをまとめたこちらの記事では、彼の考えだけでなく、プライバシーを守るために使えるツールも紹介しています。
こちらはこれまでにNSAが行ったの諜報活動を1791年までさかのぼって時系列にタイムライン表示したものです。メディアや議会での証言や書籍、一連の訴訟活動で明るみに出た信頼できる情報を厳選して、電子フロンティア財団(EFE)が作成しました。
政府には遠隔操作で携帯電話やノートパソコンを盗聴器にする能力があるという。私はかつて情報の透明性を主張する活動家やハッカーからそのことを聞いたことがあったが、行き過ぎた警告と見なして無視するのがほとんどだった。携帯電話のバッテリーは取り外せないことがわかり、私は携帯電話をホテルの部屋に置きに戻り、そしてレストランに戻ってきた。
ハフポストのこの記事は、ジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏が出版した「暴露:スノーデンが私に託したファイル」のイントロの一部を掲載したもので、実際にスノーデンがどのようにして素性を明かさずにしてジャーナリストに連絡を取ったのかがわかります。グリーンウォルド氏も私達と同じく、携帯電話やパソコンによる盗聴能力を見過ごしていたのです。僕はこの一連のやりとりを読んで、本当にこんな映画みたいな世界があるのかと鼓動が早くなりました。
グリーンウォルド氏が、スノーデンの素性を初めて知ったのは、彼に会いに行く香港行きの飛行機の中でした。それまでは名前も、彼の職業も知らなかったのです。それにもかかわらず、何も知らない彼を信頼して、匿名化装置を起動させて連絡を取り、香港まで会いにいくことを決めたのは、スノーデンの暴露への「想い」を本物だと見抜いたからでした。彼の丁寧に選びぬかれた言葉ひとつひとつがTEDで聴けます。日本語字幕もついています。
(質問者:クリス) この議論に対してはこんな反応があります 。「どうしてそんな監視を気にする必要があるのか?悪いことをしていなければ何も心配することはない」というものです。 このような見方のどこが問題なのでしょう?
(スノーデン) 第一に権利を放棄しているということです。「その権利が必要になることはないだろうし信用してるから、別にいらないよ。連中は、正しいことをやるだろうから別に問題ない」というわけです。権利が大切なのはいつ必要になるか分からないからです。さらに、この権利はアメリカだけでなく西欧社会や世界の民主主義社会における、文化的アイデンティティの一部をなすものです。
つまり監視システムは、「観られている」という意識を人々に埋め込むことで、人々に同調的な行動を求め、反対運動を起こさせないようにし、社会の「異端」を排除し、多様性を否定した社会へ導くことになるのだ。「私は、隠すものなんてないから関係ない」という個人的な問題ですまないのはこのためである。
こちらの記事では、監視プログラムが単なるプライバシーの問題に及ばないこと、ヨーロッパでの動きについてまとめています。それと日本の特定秘密保護法についても触れています。
ざっと記事を紹介しましたが、一番は本家であるこの本を読むのがいいです。グリーンウォルド氏がスノーデンと面会するまでの詳細の経緯、NSAの諜報活動の具体的な事例、監視プログラムの本質的な弊害を丁寧に論じています。次回は、実際に監視プログラムを避けるために利用できるツールたプログラムをまとめたいと思います。
(2015年1月19日「Tatsumaru Times」より転載)