エリザベス女王の夫であるイギリスのフィリップ殿下が4月9日に亡くなった。99歳だった。
フィリップ殿下は、イギリス王室最高齢の男性であり、エリザベス女王との70年以上の結婚生活は、イギリス君主の配偶者として最長だった。
激動の子ども時代
フィリップ殿下は、1921年6月10日にギリシャのコルフ島(ケルキラ島)で生まれた。
父親はギリシャのアンドレアス王子で、母親はバッテンバーグ家のアリス妃。
ギリシャとデンマークの王子の称号を持っていたが、激動の子ども時代を過ごしている。
フィリップ殿下が幼い頃、ギリシャで軍事クーデターが発生。叔父であるコンスタンティノス1世が王位を追われ、父親も国外追放されたために一家はパリに亡命した。
しかし、亡命先でも姉たちの結婚や母の病によって家族はバラバラになる。そのためフィリップ殿下は親戚のいるイギリスに移って、1928年からイギリスの小学校に通った。
その後一時ドイツの学校で学んだものの、再びイギリスに戻り、17歳の時に海軍の士官学校に入学した。
エリザベス女王との出会い
後の配偶者となるエリザベス王女に初めて出会ったのは1934年だ。ふたりはその後1939年7月に再会し、文通を始めた。
再会した時エリザベス王女は13歳で、フィリップ殿下は18歳。18歳のフィリップ殿下に、エリザベス女王は夢中になったという。
「フィリップは美しいと言えるほどのハンサムで、エリザベス女王は13歳の時に再会してから、他の男性に目を向けたことがありません」とマジェスティのイングリッド・シュワード編集長はハフポストUS版に話す。
第二次世界大戦後の1947年、エリザベス王女が21歳の時にふたりは結婚。1952年に父親のジョージ6世が亡くなったため、エリザベス王女が王位についた。
結婚後、ふたりはチャールズ、アン、アンドリュー、エドワードの4人の子どもをもうけ、フィリップ殿下はイギリス君主であるエリザベス女王を長年支えた。
その一方で、中国に留学しているイギリスの学生に「長く中国にいると目が細くなる」と言うなど、不適切発言や人種差別的なコメントが物議を醸したこともある。2017年には王室を引退し、公務を退いた。
結婚から50年目の1997年に、エリザベス女王はフィリップ殿下のことを、「彼は私の強さであり支えです」と述べている。
ふたりはこれまでに4人の子ども、8人の孫、10人のひ孫に恵まれた。
子ども時代に亡命し、エリザベス女王と出会って妻を支えたフィリップ殿下。王室での人生を、写真とともに振り返ります。