日銀が2日発表した9月の「生活意識に関するアンケート調査」(第59回)によると、景気が「良くなった」との回答から「悪くなった」との回答を引いた景況感DIがマイナス20.4となり、前回6月調査から悪化した。
暮らしにゆとりがなくなってきた理由として物価上昇をあげる人が最多で、消費税率引き上げを含めた物価上昇が家計の負担増として意識されている可能性がある。
9月の景況感DIは、前回6月調査のマイナス10.0から10ポイント超の大きな悪化となった。マイナス20.4は13年3月調査のマイナス22.6以来となる低水準。景気を判断する根拠として「自分や家族の収入の状況」との回答が最も多く、次いで「勤め先や自分の店の経営状況」「商店街、繁華街などの混み具合」などとなっている。
現在の暮らし向きについて、「ゆとりが出てきた」との回答から「ゆとりがなくなってきた」との回答を引いた暮らし向きDIもマイナス44.1となり、前回調査のマイナス39.8から悪化した。ゆとりがなくなってきた理由(複数回答可)では、「物価が上がったから」との回答が66.2%で最多。この回答は今年の3月調査では「給与や事業などの収入が減ったから」との回答に次ぐ2番目に多い理由だったが、前回6月調査から逆転しており、4月の消費税率引き上げに伴う物価上昇が家計にのしかかっている可能性がありそうだ。
物価に対する実感でも、現在の物価が1年前と比べて「上がった」との回答が80.4%に上昇。2008年12月調査以来の高水準となっている。1年後と5年後の物価見通しも、「上がる」との回答がそれぞれ82.5%、85.9%に前回調査から上昇。家計のインフレ期待の高まりがうかがえる結果となった。
物価上昇の感想では「どちらかと言えば、困ったことだ」との回答が78.8%となり、前回調査の78.1%から上昇。一方で、「どちらかと言えば好ましい」との回答も4.0%となり、前回調査の3.7%から上昇している。[東京 2日 ロイター]
(伊藤純夫)