フィギュアスケート女子シングルで金メダルに輝いたアリーナ・ザギトワ(15)と銀メダルのエフゲニア・メドベージェワ(18)の両選手=いずれもロシアから個人資格で参加=が2月23日、記者会見した。ロシア国営ノーボスチ通信などが伝えた。
ザギトワ選手は金メダルを獲得したことについて、「喜びと同時に気が抜けた感じもある」と語った。一方、メドベージェワ選手はフリーの演技について「穏やかな気持ちで臨めた」と話した。
主なやり取りは次の通り(敬称略)。
―エフゲニア、演技の最後で泣きましたね。その瞬間、何を思いましたか。辛い思い、幸せ、あるいはほかの感情?
メドベージェワ:思わず感情があふれました。そんなことはこれまでなかったので、顔を覆ってしまいました。とても不思議な感覚でした。それは言い表せないものです。
おそらく絶頂に達した緊張が感情の器からあふれ出たのだと思います。今は大丈夫です。
―これからどうしますか?
ザギトワ:世界選手権に向けて準備します。
メドベージェワ:私も同じです。スポーツ人生は長いです。私はフィギュアスケートが好きですし、長くやっていきたい。これまでと何ら変わりません。
―アリーナ、フリーの演技で首位に立った時、どんな思いでしたか。
ザギトワ:最後まで拳をぎゅっと握ったままでした。結果がどうなるか誰もわかりませんから。一番大切なのは、きれいに滑ること。そしてフィギュアスケートを愛することです。
―カロリーナ・コストナー選手についてはどのような思いだったのですか。彼女は31歳で4回目のオリンピック出場だったわけですが。
ザギトワ:私にとってはお手本のような方です。あの年齢までフィギュアスケートをできるか、今はわかりません。しかし、もしできるならぜひやりたい。
メドベージェワ:私の場合、生活の中でたくさんのインスピレーションを受けます。例えば路上で見たものから音楽が思いつくことがあります。カロリーナもまた、私にインスピレーションを与えてくれる存在です。長く競技をすることのお手本であり、私がそれを真似できるかと言われてもわかりませんが。
カロリーナのような人を見ると、自分自身頑張って前に進もうと思えます。熱中できることがあるなら、カロリーナ・コストナーのように全身全霊を捧げるべきです。
―羽生結弦選手が2大会連続で優勝しました。どう思いますか。
ザギトワ:私にとってはお手本であり、レジェンドです。ほとんど半シーズンを棒に振ったのに、このオリンピックで演技をし、いい滑りを見せました。素晴らしく尊敬に値します。
―エテリ・トゥトベリーゼ氏の同じ門下生として競争することは、あなた方をどう成長させましたか。
ザギトワ:私たちのグループには、ほかの選手よりももっと練習してうまくなりたいと思わせるようなフィギュアスケーターがたくさんいます。
―指導者はいかがですか?
ザギトワ:一度たりとも悪い助言をされたことはありません。ときに厳しいこともあります。それぞれの選手に合わせてやり方を変えてくれますし、選手たちがいい結果を出す方法について熟知しています。
メドベージェワ:チームはとても大きく、私たちがフィギュアスケートのことを好きになるよう取り組んでくれています。一つの目標に向かって一緒に進んでいます。
私はうれしいですし、指導者、振付師、医師のみんなに感謝しています。彼らのおかげで氷の上に出て、一緒に作り上げた演技を披露することができるのですから。
私は大きなけがをしました。そしてもっとも重要な競技に出場できるまでに回復しました。皆さんの助けがなければ、私はこの場にいることはなかったでしょう。
一緒に取り組んだことに気持ちを注いでくれた仲間に対し、感謝しかありません。
―アリーナ、あなたのフリーの演技をめぐっては、後半にすべてのジャンプ要素を入れていることについて批判がありました。これについてどう思いますか。
ザギトワ:演技はとてもハーモニーがあると思っています。最初はゆっくりとした曲調で、道を少しずつ進んでいくようなイメージです。そして最後にはテンポが早くなり、ジャンプ要素へとつながっていくのです。
曲には拍子があって、観客は最後まで緊張感を持ち続けます。演技はよく構成されていると思います。
多くの人がすべてのジャンプ要素を後半に詰め込んで、私はただ待っているだけだと言いますが、そうではありません。観客は私のことを理解してくれるでしょうし、皆さんも同じようにそうした考えに賛同してくれると思います。
―エフゲニア、あなたはロシアの選手が個人資格で参加できることを決めた国際オリンピック委員会の会議に出席しましたね。開会式のとき、オリンピック旗が掲げられたのを見て何を感じましたか。
メドベージェワ:興味深い質問です。少し考えてもいいですか。というのも、私はしっかりと正しく答えたいからです。何度も言ってきたように、どんな状況かというのは重要ではありません。皆さん、私たちのことをよく知っているわけなので。今日アリーナにいた観客のみなさんがそれを証明しました。
―エフゲニア、あなたは競技においてもっと得点を上げるためには、技術点を完璧にしたいと思っていますか。
メドベージェワ:はい、技術点を上げる方法はあります。それについて今後取り組みます。
―ほかの選手たちが成功するために、どんなアドバイスをしますか。
ザギトワ:フィギュアスケートを大好きになることが必要だと思います。すべてを捧げ、練習にも最大限取り組むことです。そうすればうまくいくでしょう。
私は10年間、フィギュアスケートをやっていますが、いいときもあれば悪いときもありました。けがもしました。でもそれらすべてがオリンピックのメダルにつながって行きました。
メドベージェワ:両親が私に「フィギュアスケートをやってるけど、どんなことでも困難はつきもの」と言ったことがあります。アリーナと同じ意見で、自分のやるべきことに全身全霊を傾けることが必要です。思いが強ければ、達成できるでしょう。
―前の世代の選手たちと、成功を収めたあなた方とはどんな違いがあるのですか。
メドベージェワ:私たちのグループにはさらに若い世代が育ってきています。だから、次にどうなっていくかはまったくわかりません。数年後、どうなっているのかもわかりません。私も15歳のころがありました。私たちは成長しますし、どんな分野でも同じです。それは正しいことですし、いいことです。一人一人違う人間であり、そのおかげでスポーツや人生において革命が起きるのです。違いについては私たちが判断することではありません。
ザギトワ:まったくジェーニャ(エフゲニアの愛称)に賛成です。そのような状況こそ前進の原動力となります。
―アリーナ、1位になったとわかったとき、どんな気分でしたか?
ザギトワ:まだオリンピックチャンピオンになった実感がわきません。メダルを受け取っていないので。時間がたてば実感がわくでしょう。
1位になったことを知った後、喜びと同時に気が抜けた感じもあります。オリンピックに向けて、張り詰めた中でやってきたことが無駄ではなかったと悟ったからです。同じ気持ちで次に進みたいと思います。
―ショートプログラムの後、プレッシャーを感じましたか?
ザギトワ:順位は気にしないようにしました。でもうまくいきませんでした。フリー演技の前、とても不安になりました。失敗できないとか、最大限きれいに滑らないとという思いがあったんです。うまく滑ることができ、金メダルを獲得することができて本当にうれしいです。
メドベージェワ:私は逆で、フリーの演技には穏やかな気持ちで臨むことができました。感情的にも、神経質にもならなかったです。それ以上何もありませんでした。ただ、悔いの残らないように滑ろうとしただけでした。
今日、私はまったくプレッシャーを感じませんでした。まるで翼を広げた鳥にでもなったかのような気持ちでした。深呼吸してフリーの演技に向かいました。フリーはとてもよかったと思います。