美術館や図書館も!空港の文化発信拠点としてのユニークな取り組み

東京が2020年夏季オリンピックの開催地に決定し、日本では、今後ますます、外国人観光客数の増加が期待されています。日本の文化や魅力を世界の人々に伝える接点を増やすためにも、文化発信スポットとしての空港の活用は、検討の余地があるかもしれません。
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蘭スキポール空港内にある図書館「Airport Library」の様子(撮影:松岡由希子)

空港内のスポットといえば、免税店などのショップとレストラン、カフェが定番でしたが、近年、国や都市の文化を発信する拠点として、空港という場が多様に活用されています。

年間利用者数が5100万人を超える蘭アムステルダムのスキポール空港(国際空港評議会の調べ)は、オランダ国内のみならず、西欧主要都市に向けたハブ空港の役割を担っており、乗り継ぎ便の待ち合わせのため、空港内に長時間とどまる利用者も少なくありません。そこで、オランダの文化・歴史を発信する場として、2010年7月、世界初の空港内図書館「Airport Library」を開設しました。約90平方メートルのスペースには、30言語に翻訳されたオランダの小説や、オランダの文化・建築・デザインを紹介する写真集など、約1250冊を所蔵。本の持ち出しは禁止されていますが、オープンな閲覧スペースで、年中無休24時間いつでも自由に読むことができます。また、閲覧スペースにはiPadも備え付けられており、オランダの映画や音楽をデジタルコンテンツで楽しめるようになっています。

また、フィンランドのヘルシンキ・ヴァンター国際空港には、本にまつわるユニークなスポットとして、「Airport Book Swap」という本の交換スポットがあります。誰でも無料で24時間利用でき、読み終えた本を寄贈したり、読みたい本を本棚からもらったりと、世界中の旅行者同士が自由に本を交換し合うスポットとなっています。

空港内に小規模な美術館や博物館を設置する事例も増えてきました。米アリゾナ州のフェニックス・スカイハーバー空港には、米国最大級の空港内美術館「Phoenix Airport Museum」があり、絵画や彫像など500以上の作品を展示(以下動画参照)。"芸術の都"パリの空の玄関口であるシャルル・ド・ゴール国際空港でも、「Espace Musée」と呼ばれる美術館がオープンしています。

東京が2020年夏季オリンピックの開催地に決定し、日本では、今後ますます、外国人観光客数の増加が期待されています。日本の文化や魅力を世界の人々に伝える接点を増やすためにも、文化発信スポットとしての空港の活用は、検討の余地があるかもしれません。