「ネット選挙」でネットにあるべき情報は、蓄積された政治家や政党の「ログ」では?

ネットは「これまでの積み重ね」をログとして記録し、分析するのに最適な場であり、すっかりアテにならない印象になっているマニフェストとか候補者名の連呼とか握手とか、そういう「今だけ」の活動でなく、根本的に「選挙活動」の質を変えることも可能にできるのではないでしょうか。
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「ネット選挙」が解禁と騒がれていますが、忙しくてそれほど情報をチェックできていないこともあり、これといった変化を感じていません。

しいて言えば、やまもといちろうブログなどで選挙ネタも避けずに書かれていることと、Twitterでいつのまにか参議院議員候補者の方をフォローしていたことに気付いたことぐらいでしょうか。あと、「ポリタス」のオープンと。

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そんな感じで情報収集不足な面もありますが、現状での思うところなど書いておきます。ネット選挙とはもっと、デジタル媒体のデータベース性やアーカイブ性を生かし、有権者がより多くの情報と長期的な視野から政治を考えることをサポートするべきではないでしょうか。

ヤフーでやっている直近の争点とのマッチングとか、検索キーワードからの当落予想でビッグデータとか言ってるのって、それはそれで面白いんですが、なんか方向性が違うのでは? という気がしてなりません。

そういう武器を有権者自身に向ける(有権者の動きを予測する)んじゃなくて、「政治家や政党の今後の働きを予測する」という方向にも向けられるはずです。

候補者のこれまでの言動の記録の蓄積から、当選後どういう仕事をしてくれるか予測できるのでは?

候補者のこれまでの言動をデータベース化して分析することで、「この候補者は現在こういう政策をぶち上げているけど、高い確率で実際には動かない」とか「この候補者の主張は地味だが、着実に行動している」とか、そういうことが見えてくるようにするのも、昨今のビッグデータが云々の時代であればさほど難しくないでしょう。

そして、それを何ならインフォグラフィックス風にしたりして分かりやすく見せるのも可能だと思うんですよね。そもそも元になるデータを集めるのが大変だし、どこから金が出るのかも分からない、という根本的な問題はありますが。

例えば、候補者のキメ顔のポスターが並んだ選挙看板にオーバーレイするようにして、「彼・彼女の過去4年間ないし6年間はこうだった」という情報が端的に見えたりしたら、面白いんじゃないかと思います。詳細を調べたいときには、各種議事録やら新聞記事やらまですぐにアクセスできるようになっていれば、なお良し。

政治家って、あらゆる意味で「これまでの積み重ね」がモノを言うもので、選挙期間に何をブチ上げたかはわりとどうでもよくて、これまでの(政治活動以外も含む)言動から、考え方の軸になっているものや、能力を見ることが大事なんだろうと思います。

そして、ネットは「これまでの積み重ね」をログとして記録し、分析するのに最適な場であり、すっかりアテにならない印象になっているマニフェストとか候補者名の連呼とか握手とか、そういう「今だけ」の活動でなく、根本的に「選挙活動」の質を変えることも可能にできるのではないでしょうか。

そんなことを考えるに、津田さんが開設された「ポリタス」が指向するものが、それに近いような気がしてきました。

テレビ、新聞、雑誌、街頭演説、国会などでの政治家の発言を収集してデータベース化。「憲法」「TPP」「原発」などトピックごとにバブルチャートで示し、バブルの大きさで政治家の関心ジャンルが分かるようにした。発言はトピックごと、政治家ごとに一覧でチェック可能。発言の情報源も明記しており、発言の経緯も確認できる。

政治家のオフラインの発言をDB化 津田大介さんの"政治メディア"「ポリタス」β版公開 - ITmedia ニュース

「ポリタス」はまだ開設されたばかりですが、選挙期間だけでなく、継続的にこのように情報が収集され、争点になるキーワードだけでなく政治家や政党軸で情報を見ることができたら、何となくイメージしていたものに、非常に近いような気がします。

「政治家の発言を網羅して可視化するサイトは、日本にありそうでなかったもの。テレビや新聞、雑誌、ソーシャルメディアなど発言はたくさんありますが、それをすべて読めて、その政治家の全体像を見ることができるサイトはありませんでした。今回の参院選で、全国比例の候補者について争点に関する発言数を可視化すれば、多くの有権者にとって役立つと考えました」

新サイト「ポリタス」で政治を可視化する!編集長・津田大介氏に使い方と狙いを聞いた|ネット選挙解禁!ニッポンの民主主義はどう変わるか|ダイヤモンド・オンライン

日本人だけかどうかは知りませんが「俺はちゃんと仕事をした!」と自分で言うと、どうしても胡散臭い感じがしてしまいます。ですが、データで客観的に見せられるといいんじゃないでしょうかね。カンタンに言ってしまうと。

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(※2013年7月18日の「Heartlogic」より転載しました)