インデックス コンテンツ戦略の迷走と瓦解と序曲

6月12日、NHKニュースで株式会社インデックスに対して、循環取引を用いた粉飾決算の疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が強制捜査に入ったことが報道されました。
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6月12日、NHKニュースで株式会社インデックスに対して、循環取引を用いた粉飾決算の疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が強制捜査に入ったことが報道されました。

強制捜査先は、三軒茶屋のキャロットタワーの本社ならびに、落合社長の個人資産管理会社である落合アソシエイツ(自宅)。人気のゲームブランド「アトラス」のソフトの発売会社の不祥事ゆえに、本来ならばNHKのみならず民放各社の報道があっても不思議ではないのですが、民放局においてはほとんどそれに関して触れることはありませんでした。理由は簡単で、各社ともに、未だに大株主であり、インデックスに触れることは間接的に自分たちへの反動が及ぶことを考えた結果と推測できます。なかでもフジテレビ、TBSは大株主として名前を連ねています。

翌日以降は、普段通り経営陣も勤務していたと聞きますが、6月27日、一転して、資金繰りに行き詰まり経営破綻、民事再生法の適用を申請し受理。これによって、1995年に創業したインデックスは負債総額245億円を残して倒産。従前から、5期連続赤字という前兆はあったものの、後味の悪いエンディングとなりました。 

(※創業時の社名は株式会社ノザーク・ビーエヌエス・97年にインデックスに変更)

私自身は、デジキューブに在職した2000年頃から、インデックスとの接点がありました。それは、在京テレビ局に勤務する知人の紹介で、当時、インデックスはドコモからiモード向けコンテンツの受託で業績が好調で、青山の骨董通りの小さな事務所から始まり、赤坂のミカドビル、そして三茶のキャロットタワーと増収増益増員というプラスのスパイラルのなかにあり、その時期に、私が、ガラケー向けのコンテンツパブリッシャーをインデックスに紹介したことが縁で落合氏・小川氏と交流することになりました。

落合氏との接点は、私がコンテンツ系の起業プランを提示すると、数千万円単位の出資にも応じていただき応援をしていただきました。インデックスはその当時、株式時価総額が1000億円を超えるような規模で、余りあるキャッシュをもとに企業買収や出資を積極的に行っていました。私が起業したデックスエンタテインメントもその1社で、創業時はインデックスとマーベラスエンターテイメント(現在のマーベラスAQL)に出資をしてもらったことがきっかけでした。その意味では恩人なのです。

その後、インデックスはドコモからの受託仕事だけではなく、自社コンテンツの収益強化に踏み切ります。マッドハウスの買収、インターチャネル(旧・NECインターチャネル)、ゲオとの合弁会社、コナミが持て余していたタカラ株を買収したりなどを積極的にM&Aや新会社を設立していくのを目の当たりにしました。しかし、本業である携帯コンテンツとの融合はなかなか進まず、当時、先進的であった「エフモード」は、雑誌連動で携帯画面からファッションアイテムを注文するという画期的なサービスでしたが、不発に終わり、後年、関連スタッフが立ち上げた「東京ガールズコレクション」は時代にマッチし成功を収めることになりました。唯一の成功事例はタカラと共同開発した「バウリンガル」で、犬好きの小川氏のアイディアによるスマッシュヒットでしたが、あとに続くものはありませんでした。最盛期で80社ほどの関連子会社によるインデックスのコンテンツ拡充路線は目利き不足も災いし失速。かつて盛んだった受託仕事も徐々により安く早く受託する中小制作会社にノウハウを奪われ、インデックスに依存しなくてもできることがさらに本業を弱体化させてしまいました。

しかし、タカラとトミーの合併を主導し(06年1月)インデックスのパブリックイメージはライブドア騒動などのダークナイト的な位置づけとは異なりホワイトナイト的な好印象を持たれました。タカラトミーという玩具業界のエスタブリッシュ企業の見合いを成立させたことで落合氏の評価は高まったように思われましたが、実態としてはすでに数年前から循環取引を子会社間でおこない、粉飾決算を行っていたという噂は絶えませんでした。その後、暴力団関係者が経営に関わる「ゆびとま」買収の失敗、学研株の紛失に伴う暴力団との水面下の取引などが取りざたされイメージの低下を引き起こしていました。メインバンクであった三菱東京UFJやSMBCからの支援も受けにくい状況に陥っており、キャッシュフローが悪化して子会社の整理売却だけでは資金繰りが回らなくなっていたのと推測できます。

そして、落合氏の目の前に現れたのが木村剛率いる日本振興銀行です。本来は中小企業のためのつなぎ融資を積極的に促進するために創設されたものでしたが、業容拡大を焦るあまりに商工ローンなどから不良債権を買い漁り続けました。落合氏は、個人会社である「落合アソシエイツ」にその振興銀行から30億円の融資を受けインデックスホールディングスの増資に踏み切ります。すでに、振興銀行の擁する中小企業振興ネットワークに取り込まれてしまいました。

そして2010年9月、木村剛の独裁と暴走により振興銀行は日本で初めてのペイオフが発動され経営破たん。その際、インデックスへの債権に関しては、振興銀破たん後、整理回収機構に受けつがれましたが、インデックスには内部監査が入り一旦は終わったと思った・・・というのは当時の関係者の言によるものです。

しかし、なぜこの時期に強制捜査が入り、民事再生(倒産)に至ったかと言えば、木村剛をはじめとする振興銀行の案件を解明できないまま終わらせたくないという圧力からのものです。その目的はふたつ、ひとつは振興銀行の債務超過額6700億円の消えたキャッシュを追うことでのバックグラウンドの洗い出し、そしてもうひとつは、日本銀行のキャリア官僚を経て、時の小泉政権の財政ブレーンを歴任した木村剛のさらに背後にある人物や事象を炙り出そうとしています。

インデックスの倒産という事実だけでなく、そのもっと暗部にあるものを明らかにすることが重要です。つまり今回の倒産は終わりではなく序曲に過ぎないと思います。みなさんはどう考えますか?