何故日韓関係は悪化するのか?

昨年8月に韓国、李明博前大統領が竹島に上陸して以来日韓関係は悪化の一途を辿っている。そして、韓国はまるで火に油を注ぐかのように世界中で日本を誹謗中傷する事をやめようとはしない。これは、当然の結果として日本国民の反韓意識を高める事となる。
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昨年8月に韓国、李明博前大統領が竹島に上陸して以来日韓関係は悪化の一途を辿っている。そして、韓国はまるで火に油を注ぐかのように世界中で日本を誹謗中傷する事をやめようとはしない。これは、当然の結果として日本国民の反韓意識を高める事となる。朝鮮半島有事の際は沖縄からアメリカ軍が駆けつけ韓国を守る事になる。支援基地が沖縄にある事で、韓国の国土防衛に拘わる負荷は随分と軽減されているはずである。本来、韓国は日本に感謝すべきなのであるが、感謝どころか上述の如き対日誹謗中傷を大統領以下まるで国是として実行している有様である。それでは、何故こうなってしまったか? である。

受け入れ難い韓国の対日要求

朴現大統領は事ある毎に安倍政権が誠意ある対応をしないと不満を漏らしている。安倍政権に誠意がないというのは本当であろうか? 私は寧ろそうではなくて韓国の対日要求内容が日本側にとって受け入れ難いものばかりである事に根本原因があると考えている。関係悪化の始まりは昨年8月に韓国、李明博前大統領が竹島に上陸した事に起因する。仮にこの暴挙を日本が容認すれば日本は舐められ中国人民解放軍はさっさと「尖閣」に上陸するに違いない。そして「尖閣」に引き続き、沖ノ鳥島、小笠原諸島と続いて奪われる事を日本政府は想定せねばならない。日本はフィリピン領有のミスチーフ礁が中国に奪い取られた事実を冷徹に受け止めるべきであろう。

次は「従軍慰安婦」問題である。この問題の核心は日本軍による強制連行が果たして行われたのか? という点に尽きる。そして、その事実は確認されていない。そうであるにも拘わらず韓国側が闇雲に既成事実化を図っているのが実情である。仮にこういう状況で安倍政権が賠償に応じれば、世界の国々は日本を脅せば金になると思い、次から次へと同様の捏造が繰り返される事になってしまう。従って、安倍政権が賠償に応じる訳に行かないのは当然である。

最後は新日鉄住金三菱重工の徴用工問題である。この件は1965年の日韓基本条約で決着済みである。「法の支配」が貫徹され「法治国家」である日本が韓国側の理不尽な要求を受け入れる事は「法治国家」の看板を外す事に等しく、とてもではないが出来る話ではない。韓国は安倍政権が否定するしかない無理な要求をしつこく繰り返し、断られ激昂するという非生産的な行動を続けている訳である。勿論、こんな事を継続すればする程両国間の関係は悪化してしまう。

最高裁の上に「国民感情」があるという奇妙な韓国の司法

靖国神社に放火した後、ソウルの日本大使館に火炎瓶を投げつけて韓国で服役した中国人の劉強元受刑者を日韓犯罪人引渡し条約に従い日本政府に引き渡すべきところを、ソウル高裁は日本への引き渡しを拒否する判断を下し、今年1月、中国、上海に逃がした。私も含めこの決定に驚いた日本人は多かったと推測する。韓国は国家間で取り決めた条約を簡単に破棄する国である事が判明したからである。

韓国の憲法裁判所、歴代最高の決定は...「親日派財産の国家還収合憲」が実に興味深い。日本人は裁判官とは「法の職人」として「法」に準拠して判決を出すものと固く信じている。一方、韓国では司法府がアンケート調査をして、「国民感情」に正当性の根拠を置いているのである。最高裁の上に「国民感情」がどっかりと腰を落とし、「国民感情」は戦後の反日教育で歪められている。こういう状況であれば、対日関連について韓国の司法が正常に機能する事など望むべくもない。安倍政権が司法の機能しない国との関係に一定の距離を置くのは当然の対応と考える。

空洞化が加速する韓国経済

古来日本は中国の進んだ文明を朝鮮半島経由で受け入れて来た。そこに、日本に取って重要な朝鮮半島の意義があった訳である。しかしながら、今やインターネットの時代であり距離は関係しない。小学生であってもネット経由で世界の最高最新情報にアクセス出来る。一方、第二次世界大戦後日韓は共に自由主義陣営の一員として、ソ連や中国そして札付きの無法者、テロ国家である北朝鮮に対峙した。しかしながら、ソ連はあっけなく崩壊し民主国家であるロシアとして生まれ変わった。一方、中国は一応中国共産党の一党独裁体制を維持しているものの、韓国に取っては第一の貿易相手国、日本に取ってもアメリカに次ぐ第二位の貿易相手国である。

米ソ冷戦時代であれば、例え日韓に面白くない事があったとしても、仲違いをしている場合ではないとお互いが我慢したはずである。しかしながら、こういった緊張関係が緩和されれば過去の恨み辛みを含めて言いたい事をいうようになる。それが現状ではないだろうか? これは、理屈ではなく感情に起因する話である。従って、問題解決が一筋縄では行かないのは当然である。そして、日本から高価な生産設備や中核部品を輸入せねば経済が回って行かない韓国が日本に対し理不尽ではあるが怨嗟の感情を抱くのも当然である。かなり改善はされたが、それでは単月で対日貿易赤字は2,000億円近くに達する

韓国人は強い反日感情を持ちながらも日本との結び付きを清算して韓国経済がこの先やって行けるとは思っていない。これが日中韓のパートナーシップを繰り返し彼らが強調する背景である。一方、日本の興味は日米同盟の深化とTPP加盟によって加速される、アジア・太平洋地域における投資、交易の加速である。韓国をパートナーにすることなど全く念頭にない。日本は軸足を厄介で面倒な隣国がいる北東アジアからアジア・太平洋地域に移行する訳である。従って、韓国が危惧しているのは日本に愛想を尽かされ、置いていかれる事に他ならない。この辺りが実は韓国の本音ではないか? と考えている。

重要なのは、決して日本のみが韓国との距離を置こうとしている訳ではないという事実である。外資系銀行の韓国市場徹撤退ラッシュは、結果、韓国金融市場が破綻するのではと韓国政府を震撼させている。撤退は金融分野に留まらない。製造業であるGMは労働問題を嫌気して韓国からの撤退を決定した。理由が理由だけに他の分野に波及する事は必至であろう。結果、韓国経済は空洞化を加速する事になる。

新たな日韓の摩擦とは?

逃げ足の速い短期の投機資金は前途に期待の持てない韓国市場に見切りを付け引き上げを加速する事になる。仮にそういう展開となれば、韓国がリーマンショック後に経験した通貨危機の再来となる。この回避のためには、期限切れで失効した日韓通貨スワップ協定を再締結する必要がある。手続きとしては、韓国政府が日本政府に対し日韓通貨スワップ協定の要請を行うというものである。しかしながら、日本政府に頭を下げたくない韓国政府は日中韓の通貨基金の如きスキームを提唱している。対外純資産が296兆円に達する日本の信用力を無償で活用し、来るべき通貨危機に備えるという韓国に取って都合の良い話である。日本政府が簡単にこの話に乗るとは思えず、日本政府の返事を聞いて、またしても朴新大統領は逆上する展開になる様に思う。