沖縄における報道はそれ以外の地域とは全く異なるものであり、その現実を理解することなくして沖縄問題は語れません。問われているのは沖縄以外の地域の日本国民なのです。沖縄でなくても負うことのできる負担は日本全体で引き受けなくてはならないのです。
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 石破 茂 です。

 沖縄・普天間移設問題に明け、それに暮れた1週間でした。

 その間に特定秘密保護法案の衆議院における可決・参議院への送付という難事が挟まり、いつにも増して辛い日々ではありましたが、沖縄県選出自民党議員や自民党沖縄県連の苦悩を思えばとてもそのようなことは言っておれません。

 多くの方がご存知のことと思いますが、沖縄における報道はそれ以外の地域とは全く異なるものであり、その現実を理解することなくして沖縄問題は語れません。沖縄における厳しい世論にどう真剣かつ誠実に向き合うのか。私は現地の新聞に「琉球処分の執行官」とまで書かれており、それはそれであらゆる非難を浴びる覚悟でやっているので構わないのですが、沖縄の議員たちはそうはいきません。

 繰り返して申し上げますが、問われているのは沖縄以外の地域の日本国民なのです。沖縄でなくても負うことのできる負担は日本全体で引き受けなくてはならないのです。

 中国の防空識別圏の設定は我が国の主張と真っ向から対立するものであり、これを認めることが出来ないのは当然です。日系航空会社がフライトプランの提出を取りやめたのも妥当な対応です。

 しかし中国がこの設定を撤回することは当面考えられないことであり、相当長期にわたって緊張状態が継続することが予想されます。これらに対応するためには、やはり沖縄が果たす抑止力を重視しなくてはなりません。技術革新により「距離の壁」はかなり変化しましたが、なお乗り越えられない「壁」は厳然と存在するのであり、「毅然たる姿勢」はこの分析があって初めて意味を持つのです。

 特定秘密保護法の採決にあたっての「維新の会」の対応は誠に不可解なものでした。自民・公明・みんなの党とともに共同修正を提案したからには、その早期成立にも責任を共有してもらわなくてはなりません。しかるに、日程を延ばすことを賛成の条件としたのは一体どういうわけなのか。質疑を通じて維新の会の主張は確認されたのではなかったのか。反対勢力が日程闘争を行うのはそれなりに理解できなくもありませんが、共同提案をしている党が日程闘争を展開するという前代未聞の光景に当惑せざるを得ませんでした。

 今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。

 主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない本来あるべき民主主義の手法とは異なるように *1 思います

 土曜日は広島市、日曜日は富山県南砺市へ参ります。

 もう師走、皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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(※この記事は2013年11月29日の「石破茂ブログ」より転載しました)