デジタル教科書教材協議会(DiTT)は6月、新たな提言として、「教育情報化八策」をとりまとめました。
自由民主党 教育再生実行本部は、「2010年代中に1人1台の情報端末を整備」「世界最高水準のICT教育システム・コンテンツの創造」に向け、
・ 拠点地域を全都道府県に合計100程度指定し、先導的な教育システムを開発
・ 利用しやすいデジタル教科書・教材の開発や、多様な情報端末で利用するための標準化
・ 教育システムの普及・展開に向けた協議会(コンソーシアム)の形成
といった内容を提言しています。
政府・知財本部では、デジタル教科書を正規の教科書とするための制度改正を検討し、必要な措置を講ずる政府方針を定めました。
DiTTはこれらを歓迎し、その動きを加速的に推進するため、下記八策を提言するものです。
なお、[ ]は数値目標です。
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・ 教育情報化タスクフォースの設置 [1]
文科、総務、経産、厚労、内閣府など関連する省庁横断のタスクフォースを総理大臣直轄として置き、目標の設定、計画の推進、課題の解決に当たる。その一元的な推進機関をタスクフォース直下に置く。産官学連携の協議会(コンソーシアム)を形成し、協力態勢を敷く。
・ 「デジタル教科書法」の策定 [3]
デジタル教科書を正規化するための3法(学校教育法、教科書発行法、著作権法)の改正を含む「デジタル教科書法」の策定に向けた検討を開始し、2013年度に結論を得て、必要な措置を講ずる。
・教育情報化計画の前倒し [5]
「教育情報化ビジョン」の目標年度2020年を5年前倒しし、2015年に全ての子どもがデジタル教科書で教育を受けられるようにする。
・ デジタル教育システム標準化 [10]
情報端末、クラウドネットワーク、デジタル教科書・教材のシステム標準化を図り、10地域のモデル自治体で検証を行う。2015年には標準スペックを決定する。
・ 推進地域の全国配置 [100]
早急に全国47都道府県、政令市を含む100か所に推進拠点地域を設定し、施策を重点投下する。教育センター等による教員研修も重視する。
・ スーパーデジタル教員の支援 [100]
世界で共有できるデジタル教材の開発を促進するため、各地域の教育情報化の実践で成果を上げている全国の教員100名を「スーパーデジタル教員」に選定・支援する。優良教材については産官学の協議会が全国への普及を支援する。
・ デジタル創造教育の拡充 [1000000]
ICTによる創造力・表現力を育成するワークショップに年間100万人が参加できるよう支援する。(参考:2013年3月のワークショップコレクションには10万人が参加)
・教育情報化の予算措置 [300000000000]
教育情報化に使途を限定し、毎年3千億円規模の予算措置を行う。
使途はハード、ソフト、人的サポートなど必要なものを広範囲に適応できるようにする。
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3法律の策定、計画の5年前倒し、3千億円の予算措置といった内容は従来の提言を受け継いだものです。ポイントは、全国のリーダーとなる先導100地域・100教員を指定し、具体的な支援策を講ずるという点。
2014-5年を目途に一人一台を達成しようという自治体が複数登場し、現場の先生方も勢いを増していることから、政府主導の運動よりも、地域や現場主導の運動へ、上からの指示でなく、下からの盛り上がりへ力を入れようということです。
このため、DiTTでは、全国の自治体や先生方に自薦・他薦で名乗りを上げてもらい、登録する作業を進めています。ウチこそ・ワレこそという方は、事務局までご一報ください。
(この記事は8月22日の「中村伊知哉Blog」から転載しました)