■従業員の相次ぐ炎上の責任は誰が負うべきなのか
ここ数週間で話題になっている、従業員不祥事の問題をまとめてみます。先日、友人で先輩のプロブロガー・イケダハヤトさんの記事が話題になっていました。
・おバカな従業員は「安さ」の代償(ihayato.書店)
企業経営の視点から言えば、CSR(企業の社会的責任)としてのリスクマネジメントには限界があり、企業としてはどうにもできないのでは?ということ。
そして、炎上は100%なくなることはないので、炎上が起きた場合、どう対処するかを決めておくのが重要だということです。特にアルバイト・スタッフの多い業種は要注意でしょう。
■炎上事件
ローソン店内に設置してあるアイスクリーム用冷蔵庫の中に男性が入り、涼を取っている写真がFacebook等で流出し「不衛生だ」と炎上している。
不衛生でなくとも、お断りしたいアクシデントです。
ほっともっと店内で従業員が冷蔵庫に入って撮った写真などをTwitterに投稿していたとして同社が謝罪。バーガーキングも不適切な写真について謝罪した。
ちなみに、炎上とは店舗火災の話ではなく、(ある意味そうなのですが)なんらかの不祥事をきっかけに爆発的に注目を集める事態または状況を差します。
他にもここ数ヶ月で何件も同様のことが起きているのですが、従業員が仕事でイタズラしてソーシャルメディア等にアップするのは、海外も含め日常茶飯事であります。
以前から、サービス業スタッフの暴露、イタズラなどはありまして、ホテルの従業員が有名人カップルの密会をスクープしてしまうなんてこともニュースにありました。不祥事の程度の差こそあれ、店舗運営企業としては気が気ではありませんよね。ニュースになっている話題だけみれば、いわゆる正社員ではなく、アルバイトスタッフの仕業であることが多いようです。
で、ここで問題なのはコンプライアンスの話。企業のCSRとして法令を遵守するのはいいのですが、実店舗をもつビジネスの場合、アルバイトスタッフの、コンプライアンス教育はどうなっているのでしょうか。コンプライアンスとなると、今のご時世「情報の取り扱い方」みたいのに注目が集まりますが、不祥事を起こす可能性があることをつぶしていくのもコンプライアンスの一つのアクションです。
■炎上の責任とは
僕が、ここで、ふと思うのは、「そもそも企業が責任を取る必要があるのか」ということ。
こういう類いの炎上の話があると、「家庭での教育レベルが低いから」「ソーシャルメディアがいけない、携帯持ち込み禁止にしろ」など、企業(店舗)の教育だけが原因ではないという話が必ず出ます。
もちろん、それも一因だとは思います。"普通に考えれば"店舗のアイスの冷凍ケースに入っていいわけありません。食材をムダにしたり、不衛生なことを進んでするなんて、ありえません。
で、その普通と呼ばれる「モラル」「社会通念」などという暗黙知や常識は、誰が教えるべきだったのでしょうか。企業?学校?親?だれが"人生の責任者"なのでしょうか。
こういう不祥事は、だいたい企業が謝罪し、該当店舗・スタッフの処分で終わるのですが、謝罪はすべきだったとしても、本当にCSRの範囲内の話なのでしょうか。
モラルや常識は学校の授業でも教えてくれないし、社会生活の中で学ぶしかないのですが、環境問題も、アルバイトの従業員のモラルのなさも、全部の社会的責任を背負っていたら、企業経営なんて実際やってられないですよね。
■課題の大きさ
この問題は結構根深いです。
企業活動で起きたことなので、責任は企業にあるのですが、家庭や学校での教育レベルの低さなどによる「モラル教育」(道徳・倫理教育?)のコストまで企業が負うとなると、やはり、やりきれない部分もあります。モラルのない人たちを採用したからいけないのでしょうか?頻発する不祥事の根本にはなんの問題があるのでしょうか?
結局、色々対策を講じても、それの包囲網を破ってアクションをする従業員も出てくるでしょう。あなたはどう思いますか?ぜひ、ご友人、仕事仲間等と意見交換してみてください。CSR(コンプライアンス)の新しい価値が見えてくるかもしれません。
「コンプライアンスとCSRの限界」の話は別記事で詳しく解説しています。
・カネボウ美白化粧品問題から学ぶ、クライシスマネジメントとCSR(Yahoo!ニュース個人)
・CSRは意味がないのか?ブラック企業が生まれる理由(CSRのその先へ)
コメントで、あなたの思う、企業の不祥事(従業員のコンプライアンス)について教えて下さい。
(この記事は2013年8月9日のYahoo!ニュース個人「安藤光展の『CSRの向こう側』」より転載しました)