今朝、何時もの様にBBC Newsを閲覧していたら北朝鮮、張成沢氏処刑を伝えるBreaking News(緊急速報)が目に飛び込んで来て、ある程度は想定していたものの驚いてしまった。第一印象は、権力を掌握した金正恩という男は随分と冷酷で残忍だなという事である。そして、この残忍さは遅かれ早かれ日本に向けられる事になると思い、随分と嫌な感じがした。
権力の移行に際しては必ずといって良い程内部に権力闘争が起こり、その後、勝ち組による暴走政治が始まる。張成沢の処刑も、その一連の流れの中での勝ち組に取っての必然であったと推測する。今後、北朝鮮情勢の専門家と称する幾人かの得体の知れない人物が、あたかも見て来たかの如くテレビで薀蓄を傾ける事になると推測する。しかしながら、それはテレビ向けの凡庸なショーに過ぎない。魑魅魍魎の北朝鮮状況が正確に日本に伝わるはずがないからである。役に立つのはアメリカを筆頭に関係国とのインテリジェンス協力をベースにするNSCであり、そのための特定秘密保護法案成立であった事を繰り返し強調しておく。
核弾頭搭載ミサイルが東京に照準を定めるという恐怖
何度も書いて恐縮だが、北朝鮮は金日成による統治下の時代よりずっと「テロ国家」、「無法者国家」であり、日本が真面に付き合える国でもなければ、付き合ってメリットのある国でもない。しかしながら、日本はこんな北朝鮮と対峙せねばならない。拉致被害者問題のみならず、度重なる国際社会の警告にも拘わらず決して核とミサイルの開発を止め様とはしないからである。
何故か? 核弾頭搭載ミサイルを生産し、東京に照準を定めるためである。そして、「経済援助」の名の下に日本に対して金を要求する事になる。早い話、核弾頭搭載ミサイルで日本を恫喝して金を巻き上げる積りなのである。北朝鮮の産業政策は悉く失敗しており、その結果北朝鮮経済は実質破綻している。金王朝を維持するための方策として彼らが思い付くのはこの辺りであろう。
初代の金日成や、二代目の金正日は冷酷で残忍ではあったが、そうはいってもある程度の政治的センス(国際社会と駆け引きする)を備えていた様に思う。しかしながら、3代目の金正恩は未だ30才と若く国家統治の実績も皆無に等しい。ブレーキ役になっていたかも知れない叔父の張成沢を今回処刑し、今後軍部の独走をコントロール出来ない様だと、その先何が起こっても不思議ではない。
期待出来ない六カ国協議
こういった問題は先ず外交交渉で解決を図るのがセオリーであり、六カ国協議を否定するものではない。しかしながら、参加六カ国の思惑はバラバラであり、余り好ましい結果が期待出来るとはとてもでないが思えない。
中国が一番心配するのは北朝鮮の体制が破綻し難民が中朝国境に押し寄せる事であろう。従って、これからも傀儡を続け金王朝の延命を助ける事になる。一方、北朝鮮のミサイルがシベリアのツンドラ地帯に向けられる事はあり得ない。意味がないからである。従って、ロシアとしては現状維持を支持する事になる。少なくとも、中国、ロシアはあてに出来ない。
中国、ロシアがあてにならない以上、本来日米韓が連携を強め北朝鮮に対応すべきなのである。この際問題となるのは韓国、朴政権のスタンスである。朴大統領は自国の防衛はアメリカに丸投げし、本来一緒になって北朝鮮に対峙すべき日本に対し罵詈雑言を浴びせる事が韓国大統領の仕事と勘違いしている。これでは、アメリカに匙を投げられたり、或いは、自国国民が退陣を求めデモを強行するのも、自業自得と諦めるしかない。要は、残念であるが韓国には余り多くは期待出来ないという冷徹な事実を、我々日本人は付きつけられているという事である。
日本に取っての選択肢とは?
先ずは同盟国アメリカとの意思疎通を緊密にする事である。そして、矢張り最悪のケース、詰まりは核弾頭搭載のミサイルが東京に向けられる事をどうやって確実に阻止するか? 対応策を策定し入念な準備をする事が肝要と思う。例えば、核弾頭搭載のミサイルが発射準備のステージに入った段階で空爆し、破壊する事にしておけば、北朝鮮の暴挙を抑止出来るのではないのか? 守れるものであれば「平和憲法」は守るべきと思う。しかしながら、もっと守らねばならないものは、「国土」、国民の「生命」、「財産」ではないのか? 尤も、先ずは憲法学者の憲法解釈を聞き、自衛隊運用の可能範囲を再定義する必要はあるだろうが。