遠隔転移は酸化ストレスによって減少する

マウスで増殖させたヒト黒色腫細胞が血流に入ると、高レベルの酸化ストレスを受けるため、生き残って腫瘍を形成する転移細胞が非常に少なくなることを明らかにした。
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黒色腫細胞などの固形がん細胞は循環系に容易に入り込むが、元の腫瘍から離れた部位に転移巣を形成する効率はそれほど高くない。S Morrisonたちは今回、マウスで増殖させたヒト黒色腫細胞が血流に入ると、高レベルの酸化ストレスを受けるため、生き残って腫瘍を形成する転移細胞が非常に少なくなることを明らかにした。転移に成功したごく少数の黒色腫細胞は、酸化ストレスに耐える能力を高めるような代謝変化を生じていた。抗酸化剤を投与するとヒト黒色腫細胞による転移が増加したが、抗酸化経路を阻害すると逆の影響が見られた。

Nature527, 7577

2015年11月12日

原著論文:

doi:10.1038/nature15726

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